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2014 年度 実施状況報告書

自叙写真法による女性の自己関連世界の研究:青年期・中年期・高齢期を対象として

研究課題

研究課題/領域番号 25380900
研究機関京都ノートルダム女子大学

研究代表者

向山 泰代  京都ノートルダム女子大学, 心理学部, 教授 (80319475)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード自叙写真 / 自己認知 / auto-photography / アイデンティティ / 中高年女性
研究実績の概要

本研究は、“写真で自分を表現する”目的で撮影されたオート・フォトグラフィー(auto-photography:以下、自叙写真とする)」を青年期から高齢期に至る幅広い年齢層の女性から収集し、女性の自己と環境世界との関わり方について考察することを目的とした。このため、1)女性の自叙写真を体系的に理解するためのコーディングシステムを構築すること、2)コーディングシステムを反映させたデータベースを作成すること、3)コーディングシステムを用いて各年齢層のデータを比較し、女性の自己と環境世界との関わり方について考察すること、の3点を具体的な目標とした。平成26年度の実績は以下のとおりである。
1.試行的なコーディングシステムの運用と見直し:平成25年度には、女子大学生が撮影した自叙写真をもとに既存のコーディングカテゴリーを再検討し、青年期女性の自叙写真に関する試行版のコーディングシステムを設定した。平成26年度は、この試行版コーディングシステムを用いた青年期女性の自叙写真の分類・整理作業を継続し、これと並行してコーディングカテゴリーのさらなる探索と見直しを行った。
2.青年期女子の自叙写真に関するデータベースの作成:上述の試行版コーディングシステムを用い、青年期女性の自叙写真に関するデータベースを構築するための作業を行った。
3.個人特性データ収集のための性格尺度の開発:自叙写真の被写体や表現内容と撮影者の性格との関連を検討するため、研究協力者にとって負担が軽くかつ実用にそくした新しい測定ツールとして、擬態語性格尺度短縮版を完成させた。平成26年度は、短縮版の尺度構成に関する論文を学会誌に投稿し、現在は採択に向けて最終的な修正作業を行っている。同時に、擬態語性格尺度のオリジナル版の妥当性の検証に関する論文も学会誌に投稿し、こちらも現在、採択に向けて最終的な修正作業を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度は計画していたとおり、平成25年度に作成した試行版のコーディングシステムを運用しながら、必要に応じてコーディングカテゴリーの修正や追加を行い、自叙写真のコーディングシステムを精錬する作業を進めた。また、これと並行して、青年期女性の自叙写真に関するデータベースの構築に関する作業を進めた。
また、個人特性データを収集するツールとなる新たに開発した性格尺度について検討を重ね、成果を学会で発表した(向山ら, 2014; 西岡ら, 2014)。加えて、尺度構成と尺度の妥当性に関する論文の公刊に向けた作業を進め、現在はいずれの論文も修正採択の段階である。
以上の一連の作業は、自叙写真にもとづき、女性の自己と環境世界との関わり方について考察するという本研究の目的に沿ったものである。

今後の研究の推進方策

1.自叙写真および個人特性データの収集:平成26年度に引き続き、青年期女性の自叙写真および自叙写真に関する記録等のデータ収集を継続するとともに、対象者を中年期および高齢期女性に拡張して、同様のデータの収集作業を行う。
2.コーディングシステムの修正と検討:前年度までに作成した試行版コーディングシステムを中年期および高齢期女性の自叙写真のコーディングに適用しつつ、必要に応じてコーディングカテゴリーの見直しを行う。構築されたコーディングシステムに基づいて、データベース化された自叙写真を各年齢層で比較・分析し、この結果をもとに、各年齢層における自己認知の特徴や環境世界との関わり方の相違点を検討する。
3.データベースの作成:作成したコーディングシステムを用いて、新たに得られたデータを随時、データベースに登録してゆく。この作業を通じて、データソースとしての“自叙写真データベース”の拡充を図る。
4.自叙写真と個人特性データとの関連の分析:自叙写真に関する記録、および性格検査や心理尺度への回答を各年齢層で分析し、自叙写真と撮影者の個人特性との関連について検討する。
5.各年齢層におけるデータの比較・分析結果をもとに、女性の自己認知や自己と環境世界との関わり方について統合的に考察し、研究成果を公表する。以上の5点が、今後の研究の推進方策である。

次年度使用額が生じた理由

自叙写真データの収集および分類・整理作業を平成27年度も引き続き行う必要があり、自叙写真データ収集のための機器や大量の画像を記録・保存するための記憶媒体、分析のための統計ソフトを、最終年度に分割して購入することにしたため。

次年度使用額の使用計画

平成27年度に、データ収集、分類・整理、分析作業に必要な機器と物品の購入を計画している。具体的には、研究協力者となる高齢者が使用しやすいインスタントカメラ、画像データ記録用機器の購入とデータ分析用統計ソフトの更新、および理論的考察に必要な書籍の購入を計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 親密な友人関係における性格の認知(4) -3種の評定の差からみる友人間の類似性-2014

    • 著者名/発表者名
      西岡美和、小松孝至、酒井恵子、向山泰代
    • 学会等名
      日本教育心理学会第56回総会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2014-11-08
  • [学会発表] 親密な友人関係における性格の認知(3) -擬態語による性格認知と友人関係上のリーダー/フォロワー認知についての事例的検討-2014

    • 著者名/発表者名
      向山泰代、酒井恵子、西岡美和、小松孝至
    • 学会等名
      日本心理学会第78回大会
    • 発表場所
      同志社大学(京都府京都市)
    • 年月日
      2014-09-12

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公開日: 2016-05-27  

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