研究課題/領域番号 |
25380900
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研究機関 | 京都ノートルダム女子大学 |
研究代表者 |
向山 泰代 京都ノートルダム女子大学, 心理学部, 教授 (80319475)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自叙写真 / 自己認知 / auto-photography / アイデンティティ |
研究実績の概要 |
本研究では、“写真で自分を表現する”目的で撮影されたオート・フォトグラフィー(auto-photography:以下、自叙写真とする)」を青年期から高齢期に至る幅広い年齢層の女性から収集し、女性の自己と環境世界との関わり方について考察することを目的とした。このため、1. 女性の自叙写真を体系的に理解するためのコーディングシステムを構築すること、2. コーディングシステムを反映させたデータベースを作成すること、3. コーディングシステムを用いて各年齢層のデータを比較し、女性の自己と環境世界との関わり方について考察すること、の3点を具体的な目標とした。平成27年度の実績は以下のとおりである。 (1)試行的なコーディングシステムの運用と見直し:平成27年度は、前年度までに作成した試行版コーディングシステムを用い、青年期女性の自叙写真の分類・整理作業を継続した。また、この作業と並行して中年期および高齢期女性の自己に関する先行研究をもとに、コーディングカテゴリーのさらなる探索と見直しを行った。 (2)自叙写真に関するデータベースの作成:上述の試行版コーディングシステムを用い、自叙写真に関するデータベースを構築するための作業を行った。 (3)個人特性データ収集のための性格尺度の公刊:自叙写真の被写体や表現内容と撮影者の性格との関連をみるため、実用的で研究協力者にとって負担が少ない性格測定ツールの開発と検討を進めた。前年度までの研究成果をまとめ、擬態語性格尺度短縮版を学会誌で公表した。また、擬態語性格尺度のオリジナル版の妥当性に関する論文も学会誌で公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、前年度までに作成した試行版のコーディングシステムを運用しながら、必要に応じてコーディングカテゴリーの修正や追加を行い、自叙写真のコーディングシステムを精錬する作業を進めた。これと並行して、青年期女性の自叙写真に関するデータベースの構築に関する作業を進めた。 また、個人特性データを収集するために新たに開発した性格尺度の整備を進め、これに関連する成果を学会で発表すると共に(酒井ら, 2015)、尺度構成と尺度の妥当性に関する論文を公刊した(酒井ら, 2015; 小松ら, 2015)。 以上の一連の作業は、自叙写真にもとづき、女性の自己と環境世界との関わり方について考察するという本研究の目的に沿ったものである。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は以下のとおりである。 1.自叙写真および個人特性データの収集:平成27年度に引き続き、青年期女性の自叙写真および自叙写真に関する記録等のデータ収集を継続するとともに、中年期および高齢期女性のデータの収集を行う。 2.コーディングシステムの修正と検討:前年度までに作成した試行版コーディングシステムを中年期および高齢期女性の自叙写真のコーディングに適用しつつ、適宜、コーディングカテゴリーの見直しを行う。構築されたコーディングシステムに基づきデータベース化した自叙写真を各年齢層で比較・分析し、結果をもとに各年齢層における自己認知の特徴や、環境世界との関わり方の相違点を検討する。 3.データベースの作成:新たに得られたデータについては、引き続き、試行版コーディングシステムを用いて、随時、データベースに登録してゆく。この作業を通じて、データソースとしての“自叙写真データベース”の拡充を図る。 4.自叙写真と個人特性データとの関連の分析:自叙写真に関する記録、および性格検査や心理尺度への回答を各年齢層で分析し、自叙写真と撮影者の個人特性との関連について検討する。 5.各年齢層におけるデータの比較・分析結果をもとに、女性の自己認知や自己と環境世界との関わり方について総合的に考察し、研究成果を国内外の学会等で公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
自叙写真データ収集および分類・整理作業を平成28年度も引き続き行うため、作業に不可欠な機器やソフトの購入が必要である。また、当初の計画では想定していなかった日本での対人認知の特徴を示唆する結果が得られたことから、研究に文化的視点を加味する必要が生じた。そのため、平成28年度には国内での学会に加え、国際学会に参加して成果を公表し、多様な文化的背景を持つ研究者と意見交換を行うことを計画している。研究のさらなる発展・精緻化のため、国内外の学会等に参加する経費が必要である。
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次年度使用額の使用計画 |
データ収集、分類・整理、分析作業に必要な機器と物品の購入を計画している。具体的には、高齢者用インスタントカメラの追加購入、画像データ呈示用機材、データ分析ソフトの更新、理論的考察に必要な書籍の購入を計画している。また、国内外での学会等に参加するために必要な旅費等の使用を計画している。
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