本研究の目的は,運動コントロールへの加齢効果を検討することにあった。反応形態の違いにより,運動の抑制に影響がでるのかを,2つの年齢群を対象にして比較した。さらに,視覚刺激と同時に提示される音刺激が運動の抑制に与える影響を同時に分析した。その結果, 高齢者では反応形態の違いが,誤反応率に大きく影響することが分かった。さらに,音刺激の提示は,若年成人,高齢者ともに反応を促進し,反応時間を短くする効果もあることが確認された。しかし,高齢者では若年成人に比べ,誤反応を誘発する率も高くなることが分かった。高齢者においては,運動に付随する神経システムの興奮が運動コントロールに強く影響することが示唆された。
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