研究課題
基盤研究(C)
本研究では,フランスにおいて開発が進められている描画検査のコンピュータ自動診断システムおよび自動採点システムを我が国でも適用すべく,日本の幼児の描画発達検査(グッドイナフ人物画検査,ベンダーゲシュタルトテスト)のデータを定量的に収集し,従来行われてきた評価方法(ベンダーゲシュタルトテストにおけるコピッツ法など)だけでなく,行動計測機器(デジタルペン)と描線解析ソフト(Elian)による描線データの読み込みとそれによる描画プロセス(描画スピード,描き順,筆圧など)の分析を行った。それによって,従来経験と時間を要するとされてきた描画検査の採点作業を簡便化できるコンピュータプログラムを構築し,研究・臨床場面での活用,ひいては発達障害やいわゆる「気になる子ども」の早期発見,早期支援につなげることを目指した。本年度は,3-9歳の子供を対象にデジタルペン(AnotoDP201)と専用紙を用いて①「グッドナイフ人物画検査」(人物を1人描く)②「ベンダーゲシュタルトテスト」(9つの幾何学図形の視写をする。)を実施し,そのマニュアル採点およびElianによる描線データの取り込み,筆順・筆圧・筆速などの解析作業を行った。ベンダーゲシュタルトテストに関して,コピッツ法による採点結果とElianによって解析された描画プロセスとの間には興味深い関連が見いだされ,その結果はPerceptual and Motor Skillsに投稿された(審査中)。また,フランスのSeldage社に技術協力を受け,Elian上で使用できるベンダーゲシュタルトテストの自動採点システム(コピッツ法,ハット法等)の完成度が高まりつつある段階にある。
2: おおむね順調に進展している
研究協力者のトレーニング,実験の実施,データ収集およびデータのスコア化作業はおおむね交付申請書に記載したとおり進んでいる。
当面はベンダーゲシュタルトテストについて,コンピュータ自動診断システムおよび自動採点システムを完成させ,一般公開を目指す。続いて,グッドイナフ人物画検査も同様に自動採点システムを構築できるよう尽力する。同時に,国内・国際学会による発表,国際ジャーナルへの投稿を行う。26年度は,フランスの共同研究者らとともに,本研究にかかわるシンポジウムを日本で開催する予定である。
物品を購入するには少額であったため次年度使用とした。おもに物品費,人件費(データ収集,処理,解析),旅費(国際学会発表(Association for Psychological Science, アメリカ),国内学会発表(発達心理学会,東京))に使用する。
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立命館文学
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