父親や母親が子どもの気持ちを推測する際に、養育者のメタ認知的養育がどのように影響するのかを検討した。研究参加者は父親と母親であった。実験を実施するにあたり、まず研究参加者にメタ認知的養育質問を提示、回答するように求めた。回答終了後、子どもの気持ちの推測課題の実験を行った。実験では、tobii製のアイトラックを用いて、参加者に14枚の乳幼児の画像を提示し、子どもが悲しいかどうかについての評定を行わせた。 Time to First Fixationについては、メタ認知的養育態度が高い親と低い親との間に差が見られた。全体的には、メタ認知的養育態度が低い親に比べ高い親の方が、顔の各部位により早く注視することが認められた。特に、メタ認知的養育態度が高い親は左耳により早く注視することが見られた。他方、メタ認知的養育態度が低い親は右耳と左眉をより早く注視することが見られた。これらの結果は、子どもの気持ちを推測する際に、メタ認知的養育態度が、子どもの顔の周辺部への注意の仕方に影響していることを示唆している。また、Visit Durationについては、メタ認知的養育態度が高い親と低い親との間に差が見られた。全体的には、メタ認知的養育態度が高い親に比べ低い親の方が、顔の各部位により長く注視することが認められた。また、父親と母親の注視時間について分析した。Time to First Fixationについては、母親よりも父親の方が各部位への注意速度が速かった。特に、父親による右耳・左耳・左眉への注視が、母親よりも早かった。また、Visit Durationについては、左耳で母親よりも父親で注視時間が長かった。これらの結果は、子どもの気持ちを推測する際に、養育態度や男女差により情報の処理に違いが見られることを示唆している。
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