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2013 年度 実施状況報告書

人生を物語るための心理的装置としての故郷-故郷喪失からのアプローチ-

研究課題

研究課題/領域番号 25380910
研究種目

基盤研究(C)

研究機関山形県立米沢女子短期大学

研究代表者

沼山 博  山形県立米沢女子短期大学, その他部局等, 教授 (00285678)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード生涯発達心理学 / 成人期発達 / 故郷喪失 / 家族 / 聞き取り
研究概要

平成25年度の研究実施計画に即して述べる。
1)ハンセン病回復者に対する聞き取り記録の再分析:これまでの記録を整理し、「故郷」という視点から再分析を行った。その成果の一部を特に在郷家族との関係からまとめ、山形県立米沢女子短期大学生活文化研究所報告第41号に「ハンセン病療養施設入所者における在郷家族との関係性の推移に関する研究」として論文発表した。
2)ハンセン病回復者に対する聞き取り調査:25年度は群馬、岡山、台湾の療養所入所者および首都圏、近畿圏に在住する社会復帰者に対する聞き取り調査を実施した。わが国の療養所入所者では現在でもほとんどの人が帰郷できておらず、社会復帰者でもほぼ同様の傾向がみられた。この背景としては、「在郷家族に迷惑をかけたくない」という思いが回復者に依然残っていること、また在郷家族の世代交代が進み、帰郷しようにも知っている人が少なくなっており、帰郷の意味に変容が生じていること、などが考えられる。少数ではあるが帰郷できている回復者も存在しているが、この場合は在郷家族や地域の理解が比較的得られているように考えられる。
3)東日本大震災避難者に対する聞き取り調査:これまで調査協力をお願いしていた避難者の多くが避難を終了し、帰郷したため、新たな調査協力者を求めて、避難者が比較的多く残っている地域へ赴き、その可能性を探った。これらの避難者が故郷喪失者と認められるかは「故郷」の定義次第であることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、半ば故郷喪失した人の例として、ハンセン病回復者と東日本大震災避難者を取り上げた。前者については「研究実績の概要」でもわかるように「おおむね順調に研究が進展している」と評価できる。一方、後者については研究計画の変更を検討せざるをえない状況にある。というのも、震災後3年を経過し、これまで協力をお願いしていた方の多くが避難を終了し、帰郷しており、そのため新たな協力者を模索しているが、同一県内もしくは同地域内での避難者が多く、半ば故郷喪失した人の例として、これらの方々が適切かどうかは「故郷」の定義によることがわかったからである。以上から、研究全体としては「やや遅れている」と評価することとする。

今後の研究の推進方策

「現在までの達成度」で述べたように、東日本大震災避難者が「半ば故郷喪失している人」の例として妥当かどうかは「故郷」の定義によると考えられる。この定義について再検討を行い、本研究の調査対象者として適切かどうか精査する。その結果、適切な対象者がごく少数であることが判明した場合は、研究計画の変更を行うことも視野に入れたい。

次年度の研究費の使用計画

当初調査出張に同行する予定だった者が、怪我のため病気休暇を余儀なくされ、その分の旅費が未使用となった。
全額、資料収集および調査のための旅費として使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] ハンセン病療養施設入所者における在郷家族との関係性の推移に関する研究2014

    • 著者名/発表者名
      沼山博・福島朋子・菊池武剋
    • 雑誌名

      山形県立米沢女子短期大学『生活文化研究所報告』

      巻: 41 ページ: 13-19

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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