前年度、現職の保育者574名に質問紙調査を依頼し実施したが、460名からの回答があり、欠損値を除いた408名を研究対象者として、分析を実施した。保育者被援助志向性尺度の項目として内容的妥当性を満たす項目に対して、項目分析を実施し、さらに、天井効果・床効果を確認した後、G=P分析を実施、探索的因子分析<最尤法プロマックス回転>を行った。その結果、2因子に分かれた。その後、相関分析を行い、調査で同時に尋ねた職場用ソーシャルサポート尺度とは、正の弱い相関が示され、バーンアウト尺度とは、負の弱い相関が示され、特性被援助志向性尺度とは、正の中程度の相関が示された。また、確認的因子分析を行った結果、適合度もまずまずの値であったことから、基準関連妥当性、構成概念妥当性があると考えられた。また、再検査法の結果やα係数からも信頼性も認められた。ところで、現職の保育者317名に質問紙調査で依頼し実施をしたが、研究対象者を152名として、保育者被援助志向性と首尾一貫感覚、精神的健康度について相関分析を行った。保育者被援助志向性と首尾一貫感覚では、正の中程度の相関が示された。さらに保育者被援助志向性と精神的健康度では、負の弱い相関が示された。ところで、実際に保育者被援助志向性についての介入をグループアプローチで実施するために、保育者被援助志向性について事前の予備調査の結果で等質に近い群に分かれるように、統制群・実験群と分け、統制群には、通常の保育の研修を受けてもらい、実験群には、グループで話し合う研修を実施した。分散分析を行った結果、両群において実験前・実験後・フォローアップの変化に介入の効果を見出すことができなかった。
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