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2013 年度 実施状況報告書

幼児期の他者理解における認知的発達と臨床的課題

研究課題

研究課題/領域番号 25380912
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州女子短期大学

研究代表者

小沢 日美子  九州女子短期大学, その他部局等, 准教授 (10532038)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード認知発達 / 心の理論 / 他者理解 / 幼児 / 臨床
研究概要

本研究では、原初的コミュニケーションにおける「円滑さ・自然さ」を分析・考察を試みるが、ここでは、2種の「心の理論」課題を用いて、発達による差異、及び他者性の相違による差異について検討した結果を報告する。
1.調査1-1:〔調査協力者〕幼児19人(年齢低群6人、年齢中群6人、年齢高群7人)。課題と手続き〕「心の理論」課題としては2つの課題、誤信念課題(cf.,Wimmer,&,Pernar,1983)と意図理解課題(cf.,Happe,1994)のそれぞれのアニメーション版を作成した(人間版、ロボット版の2種類)。※ アニメーション版は、Premiere Pro CS6、Anime Creator Pro8によって作成・実施した。併せて、言語応答課題を行った。
2.調査1-2:〔調査協力者〕大学生54人(平均:20.1歳)(男子22、女子32人)。〔課題と手続き〕課題=「心の理論」2課題(調査1.2共通)それぞれの人間版、ロボット版の2種類。課題のストーリーを場面ごとに記述した資料と解答用紙を配布。調査者が読み上げ、回答を順に記述することを求めた。
3.まとめ:幼児と大学生における各課題の全質問4項目の得点の偏りを調べたχ2検定の結果を照らし合わせると、他者が人かロボットかは度数の偏りに影響した、また、幼児と大学生の有意確率は概ね同傾向であった、ただ意図理解課題では他者が人のとき、大学生のみ有意傾向が認められた。そして、幼児では、2種の心の理論課題の通過時期、及びその傾向は、必ずしも同一とは考えられないが、発達差が示唆された。大学生では、人がロボットとの間で両方の「心の理論」課題通過得点で有意な差が示された。情報提供の質量により、「心の理論」課題の構造は、大人でも他者理解に影響することが考察される。今後は、幼児の後半に形成されるものは何なのか、それは大学生(大人)と共有されるものなのか、また理解のパターンなど検討を進めたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初、予備的調査の依頼を予定した機関の諸事情等、また、本研究者在籍機関の学科諸事情等が重なり、調査のための日程調整に予定よりも多くの時間を要した。更に加えて、年度終盤には、本研究者の転出が定まり、新しい環境において実験器具等を準備を進めながら、調査のつぎの段階へ進むことが、より好ましいと考えられる状況にあった。それらの結果により、初年度についてのみ捉えると、当初計画よりも遅れている事態ではあるものの、予備的調査は既に実施されており、当初予定の実験器具等の購入に当たっての手順も整っている。したがって、本研究者における新しい環境下での本実験実施のための準備は進展している状況といえよう。

今後の研究の推進方策

次の要領1調査2、2.調査3で、今後の研究の推進方策を予定している。なお、そのために視線測定装置の購入、実施手順に関する準備を行うとともに、本実験・本調査に適した環境整備・確保について進めていく。また、調査協力者として、定型発達児・者の子ども・成人とともに、発達障害を有する児・者の子ども・成人に協力依頼を行う。・そして、調査協力児・者への協力依頼を年度内実施を目指して計画的に行って行く。
1.調査2の実施:本実験では、意図性課題と誤信念課題の2 課題の実施過程における言語化されない他者理解の能力について、言語表出による回答とともに回答プロセスにおける視線の動きを測定する。調査協力者として、幼児から小学校児童、及び成人を予定する。課題:(1)「心の理論」課題(誤信念課題、意図性課題)、(2)言語応答課題(「理解」「反対類推」「物の定義」「語彙」「数詞の復唱」「文の記憶」)など。(3)認知モジュール課題(「意図検出」:指さし、「視線検知」:積み木と積み木、「注意共有」:絵指示など)。そして、言語応答と視線の動き、それぞれの測定結果より、「心の理論」課題通過を予測する認知発達の基盤的要因を検討する。なお、事前に成人を対象とした結果との比較検討を行い、回答プロセス解析の観点を検出することを予定する。
2.調査3の実施:発達障害を有する児・者、及び保護者等に協力依頼をして行う。そして、調査2の手続きで検証された課題と、加えて個別の発達を査定する課題を実施する。
調査2と同様の課題を実施予定。幼児の保護者(保育者)等へは、日常場面において観察される幼児の行動についてインタビューを行う。継次的な検討を加えることも予定する。

次年度の研究費の使用計画

研究実施が当初計画よりも、科研費申請後の所属機関で実際に提供された研究環境が整わず、それにともない実験装置(視線測定装置)の購入時期が遅れた。購入手続き時が、年度末に近づいたため、平成26年度の所属機関における購入予定を選択した。そのため、当該年度は、測定装置を利用しない部分的な実験のみ行ったため。
平成26年度における新所属機関での研究実施環境が整備され次第、上記の実験装置購入を予定している。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 幼児の「心の理論」の発達と他者性2014

    • 著者名/発表者名
      小沢 日美子
    • 学会等名
      日本心理学会
    • 発表場所
      同志社大学
    • 年月日
      20140910-20140912

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公開日: 2015-05-28  

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