本研究では、幼児の他者理解における認知的発達と臨床的課題に関し、心の理論、感情理解・社会性、数量感覚の発達、および視線を検討した。比較として、大人の心の理論の発達の検討をした。その結果、幼児の誤信念理解では他者が無生物のとき、生物のときと同様の発達差を示唆しなかった。大人の誤信念理解では、他者の性質の変化と性別との関連が示唆された。加えて、視線の利用の検討では個人差の影響も示唆された。さらに、発達障害のある幼児に対しての事例検討から、自己意識の発達、自己制御の発達が、多面的な心の理論形成の基礎となることが考察された。
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