研究実績の概要 |
27年度には発達障害の子どもの親を対象としたエンパワメントを促す介入を複数の形で実践し、その効果を検討した。 1)ストレスマネージメントを取り入れたペアレントトレーニングの実施:ペアレントトレーニング(以下、ペアトレ)と並行して、子どものSST(ソーシャルスキルトレーニング)を実施し、ペアトレとSSTの相互的作用についても併せて検討することを目的とした。HPおよび親の会を通して募った対象はLD,ADHD, ASD等の発達障害があり、通常の学級に在籍している小2年~5年の子どもと親。隔週で7回、3ヵ月にわたるプログラムを2期行い、計12組の親子が参加した。実践の効果研究としてロジスティックモデルを参考に検討した。ペアトレについては子どもの行動理解に役立ち、ストレスマネートメントは母親自身の自己理解を深めるものとして効果があった。育児負担感が低下し、親のエンパワメント感は上昇し、SST並行実施は子どもの社会性スキルの認識を高めるという、一定のプログラム効果を認めた。 2)母親がSSTを実施することによるエンパワメント:母親たちがプログラムを作成し、自身の子どもたちに対して実施するという、新たな挑戦的な取り組みを、幼児を対象として行った。その結果、母親が実施者であっても未就学児へのSSTとして機能すること、子どもの特性に合わせたプログラムを提供できること、そして母親自身の達成感によってエンパワメントされることが明らかになった。 3)研究成果の公表:Mental Health of Parents of Children with ADHD in Comparison with those of Children with Other Developmental Disabilities, 5th World Congress on ADHD, Glasgow, Scotland May28-31, 2015
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