研究課題/領域番号 |
25380921
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
神村 栄一 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (80233948)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 病的ギャンブリング / 嗜癖行動 / パチンコ / スロット / 認知行動療法 / 集団療法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、パチンコ・スロット遊技において「病的賭博」ないしは「問題賭博」に該当する成人を対象とした個別ないし集団認知行動療法介入プログラムにおいて、嗜癖の機能論的類型(「解消希求型」、「社交不安型」、「ゲーム機依存型」、「消費行動破綻型」)に特化した介入モジュール(ある特徴を持つ症例に特化した介入技法)を開発し、それを研究協力者の類型判定に応じて付加した場合と、標準的なプログラムにとどめた場合で比較し、モジュール付き介入の効果のアドバンテージを検証することである。 平成26年度までにおいて、パチンコ・スロット遊戯への嗜癖を機能的観点から類型化する尺度を作成し、同時に「介入モジュール(「解消法展開」、「社交不安克服」、「ゲーム機衝動解消」、「消費行動洞察」)」の開発整備を行い、個別的な認知行動療法介入として、そのプログラムの完成をすすめた。 平成27年度は、県内心理相談室、NPO支援団体、および東京都内のクリニックと連携し、研究協力者の募集を行い、介入研究を企画・実行した。そして、そのデータ解析を行い、学術発表の準備をすすめているところである。また、関連する専門家の意見、他の認知行動療法による嗜癖介入プログラムを参考として、介入プログラムのマイナーな修正を加え、並行して、新潟大学サテライトキャンパスで、市民講座を行い、パチンコ・パチスロ遊戯嗜癖の機能分析的な理解、認知行動療法介入の実際などについて、社会還元を果たした。 平成28年度は、引き続き、モジュール介入の効果を検証するための集団認知行動療法介入を計画、実行し、データを蓄積することとする。さらに、研究助成研究の完成年度として、これらの結果を研究課題としてまとめ、かつ学術発表するべく、準備をすすめる。同時に、論文著書の刊行、国内学会での発表、および、啓蒙的パンフレットの作成、をすすめる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は、パチンコ・パチスロ遊戯の嗜癖状況にある成人研究協力者の確保に苦慮したためである。特に、東京都内クリニックでの研究協力者確保が難航し、予定数の多くが、新潟県内に限られたため、機能分析分類に対応したモジュール適合による介入効果を十分にして比較することが難しくなった。現在は、県内の研究協力者の確保に向け、準備をすすめている。 また、モジュール毎の介入プログラムの整備に、一部遅れが生じている。これは、内容的な妥当性の確認、独立性の確保に困難を抱え、調整に手間取ったためである。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、引き続き、モジュール介入の効果を検証するための集団認知行動療法介入を計画、実行し、データを蓄積することとする。研究成果の公表と研究協力者の確保を兼ねた市民講座を開き、かつ、介入モジュールの調整を年度前半に急ぐ。年度後半は、4カ年計画の完成年度として、これらの結果を研究課題としてまとめ、かつ学術発表するべく、準備をすすめる。 これらを並行し、論文著書の刊行、国内学会での発表、および、啓蒙的パンフレットの作成、をすすめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度末、3月10日以降の支払い分が残ったためである。いずれも、国内旅費に該当する。(神戸:日本認知・行動療法学会コロキウムでの発表が3月11~13日まで。神戸で、立命館大学谷晋二氏より専門的助言を受けたのが3月13日午後から14日まで。東京都内:東京大学下山晴彦研究室で打ち合わせと助言資料を受けたのが3月19日から21日まで。東京都内:メディカルパレットで、高岡美智子歯科医と研究打ち合わせが、3月27日)。これらの旅費支出は、あらかじめ定められたスケジュールであり、かつ、相手方との都合を合わせた結果による。
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次年度使用額の使用計画 |
旅費、平成28年3月11~14日、神戸:日本認知・行動療法学会参加、および、立命館大学谷晋二研究室専門的助言を受けた。同3月19~21日、東京都内:東京大学下山晴彦研究室、資料提供と専門的助言を受けた。同3月27日、東京都内:メディカルパレット、高岡美智子歯科医と、研究打ち合わせをした。次年度中の使用額はない。
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