本研究は、我が国において「事実上のギャンブル」として普及している「パチンコ・スロット遊技」に関して、「病的/問題あるギャンブリング」(予備軍含む)に該当する成人を対象とした、個人ないし集団認知行動療法介入プログラムの開発と発展をめざしたものである。その際特に、嗜癖の機能的類型(「解消希求型」、「社交不安型」、「遊戯機耽溺型」、「消費行動破綻型」)に特化した介入モジュール(ある特徴を共有する症例群に特化した付加的介入ツール)を開発し、それを研究協力者の類型判定に応じて付加した場合の介入効果のアドバンテージを検証することを目的とした。 平成26年度までにおいて、パチンコ・スロット遊戯への嗜癖を機能的観点から類型化する尺度項目を作成し、同時に「介入モジュール」4つの開発整備を行い、個人を対象とした認知行動療法介入の中で実践し(成人6名)、介入プログラムとしての完成度を高めまとめた。 平成27年度は、県内心理相談室、民間支援団体、および医療機関と連携し、研究協力者の募集を行い、介入研究を企画・実行した。個人介入として、8名に対する介入成果が得られた。その後、データ解析を行い、学術発表の準備をすすめた。また並行して、新潟大学サテライトキャンパスで市民講座を行い成果の社会還元を果たした。 平成28年度は、平成27年度に引き続き、モジュール介入の効果を検証するための集団認知行動療法介入を計画、実行しデータを蓄積した(成人5人)。市民講座を行い成果の社会還元を果たした。また、研究助成研究の完成年度として研究成果としてまとめ、平成29年度中以降に向け、学術発表、論文の執筆と公表、および、啓蒙的パンフレットの作成準備をすすめた。
|