本研究の目的は小・中学校の児童生徒のメンタルヘルスに関わる教職員の心の教育実践力の向上を目指し、教育現場で有効なメンタルヘルスに関わる支援法を確立させることにあった。平成25年度アンケート調査結果から現職教員は「感情の起伏の激しさ、不機嫌、キレやすいなどの情緒不安定な児童生徒」への対応に困難さを抱いていること、さらに研修会参加の基準としては「自分の興味・関心と合致している、研修内容に魅力を感じる、研修テーマに惹かれる」という点があがった。そこで平成27年度は研究計画にあげた心の健康プログラム実施者支援として2回にわたり研修会及び演習法を開催した。まず【イライラしやすい子どものマネジメント】と題し、怒りの理解、認知行動療法、エコロジカルアプローチ、マインドフルネスをベースに教職員に理解しやすい内容に援用し開催した。また教員が児童を支援する際に活用可能なワークシート(児童生徒の気持ちや考えを整理するためのヒント)を開発し演習を行った。次に児童生徒との信頼関係構築を目的に【イライラしやすい子どもの支え方】として、児童生徒のイライラの要因の教授や「教師・生徒における支援関係の3stepモデル」と題し、児童生徒との関係構築に関する研修会を開催した。その後ワークシートを活用し、イライラ(発火)のポイントの把握、対応の仕方など具体的実践法に関する演習を行った。 上述した児童生徒のメンタルヘルスに関わる支援法の教授に関する研修会参加校から本研究で開発した心の健康プログラム実践協力校を1校選出し、代表者が実際に学校教育現場を訪問する中、心理教育プログラム実践を教員に教授し支援を行った。また保護者対象の啓発活動として心理教育プログラム内容を平易な内容に改め、リーフレットを作成し配布した。研究協力校においては、心理教育プログラム実践活動のための基礎資料収集に向けたアンケート調査を実施した。
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