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2014 年度 実施状況報告書

思春期の自尊心低下の要因とそれを抑止する授業づくりの検討

研究課題

研究課題/領域番号 25380923
研究機関北海道大学

研究代表者

加藤 弘通  北海道大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (20399231)

研究分担者 太田 正義  常葉大学, 教育学部, 講師 (10635048)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード思春期 / 自尊心 / 思考の発達 / 中学生 / 授業づくり
研究実績の概要

平成26年度の研究の目的は、平成25年度に引き続き、思春期における自尊心の低下に関連する要因を縦断的に検討することであった。そのために公立中学校4校、2〜3年生758名を対象に自尊心および批判的思考態度、友人関係、学校享受感、教師との関係、親との関係、身体意識に関する調査を3回(5月、10月、2月)行った。
また自尊心の低下を抑止する授業づくりとして、これまでの縦断調査の結果をもとに、授業計画を立案し、調査対象校のうち2校6クラスで、11月と3月に授業を実施した。
その結果、まず縦断調査の結果から、中学校入学時、つまり1年次初頭の批判的思考態度の高さが、(2)その後の自尊心の低下と関連していること、また(2)自尊心の低下が最低となる度合いと関連していることの2点が明らかになった。具体的には、1年次初頭の批判的思考態度の発達の程度が高い群ほど、自尊心の低下が早くはじまるが、最低となる度合いが他の群に比べ、比較的高い位置で止まることが明らかになった。
以上の結果を踏まえ、自尊心が下がることは、思春期に思考(態度)が深まることの結果であるため、それ自体を上げることを目標にするのではなく、たとえ一時的に思考を下げることになっても、中長期的には思考(態度)の発達を高めることが、自尊心を過度な低下を防止するのには有効であると考えた。そこで自分たちの自尊心の推移を中学生自らが対象化し分析するといった授業プログラムを考え、授業を実施した。
その結果、中学生が考える自尊心の低下要因および対応策に関する自由記述を約270名分得た。また授業の感想としては、自分が悩んでいることは、他の多くの生徒にも共通するものであると知って少し安心したといったような感想を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の予定では、調査に基づいた授業の実施は調査3年目から開始する予定であったのが、昨年度から調査協力校の計らいにより、1年早く実施に取りかかることができたためである。
また質問紙調査についても、全ての調査依頼校で順調に年3回の調査を実施することができた。さらに調査結果の成果発表に関しても予定通り、2回の学会発表を行うことができた。
以上の理由から当初の計画以上に進展していると考えた。

今後の研究の推進方策

平成27年度の研究目的は、平成26年度と同様に、自尊心の発達パターンに関連する要因を探るための補足調査を実施するとともに、縦断調査の結果を全体として分析していく。また平成26年度に行った授業に関する調査結果の分析が終わっていないため、引き続きその分析を行うことで自尊心の低下を抑止する授業づくりへの考察を深めていきたい。
以上の結果を統合し、本研究の一連の調査結果から明らかになった知見を報告書としてまとめる。また成果を日本教育心理学会、日本発達心理学会において発表する予定である。また縦断調査の結果に関しては、学内紀要あるいは学会誌に発表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

平成26年度は、国際学会での研究発表を予定しており、予算として300,000円を計上していたが、事情により実現できなかったため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

今年度の学会発表費に使用するとともに、調査最終年度であるため、調査に協力して下さった遠方の学校への報告書フィードバックの際の交通費に使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 「抵抗」としての発達支援2014

    • 著者名/発表者名
      加藤弘通
    • 雑誌名

      子ども発達臨床研究

      巻: 6 ページ: 21−30

  • [雑誌論文] 思春期は「むずかしい」年頃なのか?2014

    • 著者名/発表者名
      加藤弘通
    • 雑誌名

      保育問題研究

      巻: 263 ページ: 154−180

  • [学会発表] 思春期の思考の発達とその関連要因2015

    • 著者名/発表者名
      加藤弘通・太田正義・松下真実子・三井由里
    • 学会等名
      日本発達心理学会
    • 発表場所
      東京大学(東京都文京区)
    • 年月日
      2015-03-21
  • [学会発表] 思春期の思考の発達が自己の発達パターンに与える影響2014

    • 著者名/発表者名
      加藤弘通・太田正義・松下真実子・三井由里
    • 学会等名
      日本教育心理学会
    • 発表場所
      神戸国際会議場(神戸市)
    • 年月日
      2014-11-08

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公開日: 2016-05-27  

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