本研究の目的は、思春期における自尊心の低下と思考の発達の関係を検討し、自尊心の過度な低下を抑える授業を提案することにあった。そのために公立中学校、国立中学校の生徒約1900名を対象に、3年間9時点にわたる質問紙による縦断調査を行った。 その結果、(1)自尊心の変化パターンは中学2年次を底に低下し、その後は卒業に向けて上昇するU字カーブを描くこと、(2)中学入学時の思考の発達が進んでいる者ほど、その後の自尊心の低下が著しいこと、(3)思考の発達は短期的には自尊心の低下を引き起こすが、中長期的にはその過度な低下を抑止することが明らかになった。以上をふまえ中学生を対象に授業案を考え実施した。
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