研究課題/領域番号 |
25380924
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
鈴木 太 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30542683)
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研究分担者 |
宇野 洋太 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (40539681) [辞退]
森川 真子 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (60783305)
岡田 俊 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (80335249)
野邑 健二 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 特任教授 (50345899)
金子 一史 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 准教授 (80345876)
本城 秀次 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 名誉教授 (90181544) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | うつ病 / 抑うつ / 自傷行為 / 心的外傷 / 対人関係療法 / 精神療法 / 小児 / 青年 |
研究実績の概要 |
対人関係療法無作為化試験の研究計画に従って、症例をリクルートして治療を行った。治療開始から一年後の経過を評価する際、抑うつ症状が再燃した症例に片頭痛が診断され、研究登録時のアセスメントとして、機能性身体症候群や身体疾患をどのように扱うべきか、検討した。 片頭痛を含めた身体疾患の診断手続きについて、International Headache SocietyによるInternational Classification of Headache Disorders 3rd editon (beta version)(ICHD-3β)、その邦訳である日本頭痛学会の「国際頭痛分類第3版β」医学書院)、標準的な診断学の書籍である「マクギーの身体診断学原著第3版(診断と治療社)」、日本神経治療学会のむずむず足症候群ガイドライン、日本鉄バイオサイエンス学会の貧血ガイドライン、日本頭痛学会の慢性頭痛ガイドライン、日本不整脈心電図学会の失神ガイドライン、複数の英語文献などを取集し、分析した。 うつ病の典型的な併存症である不安症の薬物療法について、片頭痛の扱いを含めて文献的な検討を行い、臨床精神薬理誌に論文を投稿した。出版された研究に限ると、抗うつ薬の短期的な有効性は高いものの、不安症は診断されることが少なく、患児が標準的治療へのアクセスを得られにくいことが問題と考えられた。うつ病や不安症などの精神障害の診断に用いられる構造化面接である、Schedule for Affective Disorders and Schizophrenia for School-Age Children - Present and Lifetime Version (K-SADS-PL)のDSM-5版が2016年11月に発表されたため、翻訳権を原著者から取得して邦訳を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
症例のリクルートは不十分であった。外来初診後のアセスメントにおいて、片頭痛、鉄欠乏性貧血、むずむず足症候群、慢性甲状腺炎などのスクリーニングを丁寧に行った結果、多くの身体疾患が発見されるようになり、除外基準を満たす症例が大幅に増加したためである。
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今後の研究の推進方策 |
単施設での研究では、研究期間内に十分な症例数を確保することは困難と考えられる。対人関係療法の無作為化試験の結果は、本研究が目指す青年期うつ病ガイドライン原案作成するための一要素として重要ではあるが、研究期間の短さを考慮し、青年期うつ病ガイドライン原案を作成するための準備として、以下の二点を優先的に進める。 まず、青年期うつ病を含めた情緒障害の症状を呈している青年に対して、精神障害を過剰診断せず、機能性身体症候群や身体疾患を短時間で適切にスクリーニングするための手順を、文献的に検討してマニュアル化する。次に、K-SADS-PLのDSM-5版について邦訳を完成させる。 機能性身体症候群や身体疾患のスクリーニング手順のマニュアル化、K-SADS-PLのDSM-5版の邦訳を終えた後、対人関係療法の無作為化試験の多施設化の準備を進めて、解析に必要な適切な症例数を確保できる体制を整える。
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次年度使用額が生じた理由 |
治療者の追加が予定されていたが、訓練が終了せず、今年度には雇用が開始されなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
身体疾患スクリーニング手順のマニュアル化、K-SADS-PLのDSM-5版の邦訳を進めて、本研究で作成予定の青年期うつ病ガイドライン原案の一部とする。そのための資料収集、情報収集、研究成果発表に研究費を主に使用する。
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