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2014 年度 実施状況報告書

筋ジストロフィーにおける自閉傾向のアセスメントと臨床心理学的援助

研究課題

研究課題/領域番号 25380926
研究機関大阪大学

研究代表者

井村 修  大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (20176506)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード筋ジストロフィー / 自閉的傾向 / ジストロフィン異常 / PARS-SF / エクソン
研究実績の概要

デュシェンヌ型をはじめとする筋ジストロフィーでは、認知機能の低下や対人関係の困難さがあると指摘されている。このような問題は、運動機能の低下や長期にわたる療養生活など、限定された生活経験の影響が大きいとこれまでは考えられてきた。しかし、近年ジストロフィンタンパク質の異常が、筋だけでなく中枢神経系にもあり、彼らの示す自閉的傾向のひとつの要因ではないかと考えられるようになってきた。
本研究では、56名のジストロフィン異常者(主としてデュシェンヌ型筋ジストロフィー)を対象に、自閉的傾向を測定する尺度(PARS-SF)を実施し、ジストロフィン遺伝子の突然変異の位置との関係を分析した。PARS-SFにおいては、ピーク時評定で32.1%、現在評定で19.6%が自閉傾向を示した。一般群と比較して筋ジストロフィーでは自閉的傾向が高いことが確認された。ジストロフィン遺伝子の突然変異の位置との関係については、エクソン33-44で29%が、エクソン45-55で20%が、PARS-SFのピーク時評定、現在評定、共にカットオフポイントを越えていた。エクソン1-30でカットオフポイントを越えた者はいなかった。以上の結果から、筋ジストロフィーの自閉的傾向とジストロフィン遺伝子の突然変異の位置は、関連性があることが示唆された。筋ジストロフィー患者への心理的支援に関しては、共同研究を行っている国立病院機構刀根山病院において、隔月でケースカンファレンスを実施しており、医師、看護師、臨床心理士を含めた多職種で検討を行っている。
現時点での本研究の限界は、単一施設からの研究協力者であり、何らかのバイアスがかかっている可能性が有る。また、調査対象者数が十分でなく、今後増やす必要があると思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の研究計画に近い研究結果は出ているが、現時点での限界で記載したような問題があり、可能な限り対処する予定である。また、英文の論文原稿がほぼ完成しているが、まだ専門誌にアクセプトされておらず、論文の修正をしているところである。

今後の研究の推進方策

できる限り研究協力者を増やし、関連する情報を収集していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

旅費と謝金の執行額が予定を下回った。学会の開催場所が浜松であり、旅費が東京計算より下回ったため。謝金については、遺伝生物学関係の専門家を招へいする予定であったが、先方の都合で実施できなかった。

次年度使用額の使用計画

データ数を増やすため、2015年度は心理テスターを雇用し、2014年度執行できなかった分を執行する予定である。また、専門家の助言も予定しており、謝金として執行することになる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] How Physicians Support Mothers of Children with Duchenne Muscular Dystrophy2015

    • 著者名/発表者名
      Fujino, H., Saito, T., Matsumura, T., Shibata, S., Iwata, Y., Fujimura, H., Shinno. S. & Imura, O.
    • 雑誌名

      Journal of Child Neurology

      巻: - ページ: 1-8

    • DOI

      0883073814558334

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] DMD/BMD患児における社会的認知に関する研究2014

    • 著者名/発表者名
      松井美也子、藤野陽生、前田直子、船越愛絵、上野紘子、阪上由衣、齋藤利雄、松村剛、井村修
    • 学会等名
      第56回日本小児神経学会学術集会
    • 発表場所
      アクトシティ浜松
    • 年月日
      2014-05-30

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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