研究課題/領域番号 |
25380928
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
嶋田 博行 神戸大学, 海事科学研究科(研究院), 教授 (50162681)
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研究分担者 |
有木 康雄 神戸大学, 学内共同利用施設等, 教授 (10135519)
河野 直子 名古屋大学, 学内共同利用施設等, 助教 (30583835)
箱田 裕司 京都女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (50117214)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ストループ検査 / 心理アセスメント / 認知心理学 / コンフリクト適応効果 / 認知コントロール |
研究実績の概要 |
臨床検査法に、最新の認知心理学の成果を組み込むことは現代とくに日本の状況で必須になっている。例えばコンフリクト課題としてのストループ課題に関して、最近認知心理学の実験場面で行われている「課題切り替え」「ネガティブプライミング」「比率一致性効果」「コンフリクト適応効果」の成果を臨床場面の検査法に組み込むために、ノートコンピュータを用いた簡便な検査法を開発する。コンフリクト課題としてのストループ課題は、実験室場面では精密な実験が行われており、各試行ごとの反応時間とエラーを捉えることがごく普通に行われている。しかし、臨床検査法としては未だにトータルの反応時間を使った紙ベースの検査が行われている。本研究では、検査法を開発するために、情報工学の専門家が加わるとともに、簡便な検査法を開発してきた研究者が分担者になり、その検査法の有効性をチェックする。今年度は、ストループ検査法の音声反応バージョンとして、集団検査が可能な音声認識技術を組み込んだストループ検査の集団バージョンの開発を行った。認識率は95%以上であり、有効性を確認した。この検査法とタブレット型の検査法との関連性についても検討を行った。さらに、最近継時的な試行間の効果として、コンフリクト適応効果が盛んに研究されており、そのときのワーキングメモリーの容量との関係として、ワーキングメモリー容量の低い高齢者を参加者として用いたときに、コンフリクト適応効果が得やすいという結果が得られるだろうという予想のもとに、高齢者に対して実験を行い、この仮説からの予想通りの成果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
音声認識技術を使用したストループ検査法の開発が終わり、評価を行った。ほぼ満足できる水準に達していた。特に、参加者によっては100%認識できる場合があった。タブレット型PCの検査法についても開発がおわり、その検査法に含まれる「課題切り替え」機能についての認知心理学的検討について、当初の目的を達成した。認知コントロールについて国際ジャーナルに研究を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
ストループ検査の音声認識バージョンは完成した。現在認知コントロールで問題となっている課題切り替え機能とコンフリクトとの関係を調べるための実験を行う。高齢者データの追加分のデータをとり、高齢者でコンフリクト適応効果がむしろ高いという結果の原因を探り、ワーキングメモリーとコンフリクト適応効果との関係について検討を行う。コンフリクト適応効果 (試行間の関係) が高齢者で高く、ストループ干渉量が高齢者で低いという結果は、コンフリクト適応効果がコントロール機能を表していると考えると、直感的に矛盾しているため、それを解決できるための実験を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度分担金を回すことができなかった。今年度は、分担研究者に研究費を回し、特に高齢者を対象にしたストループ課題の実施と、課題切り替えとストループ課題との関係について詳しく調べる。
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次年度使用額の使用計画 |
分担金と謝金に使用する。
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