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2013 年度 実施状況報告書

トラウマの筆記による心身の健康・高次認知機能増進に関する認知行動・脳科学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 25380932
研究種目

基盤研究(C)

研究機関徳島大学

研究代表者

佐藤 健二  徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 教授 (10318818)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード筆記開示 / トラウマ / マインドフルネス / 距離化 / 心身健康
研究概要

トラウマの筆記開示が心身機能に及ぼす影響について,第1に,外傷後ストレス反応を維持させている個人を対象に検討することを目的とした。第2に,心身の健康の増進に寄与する筆記内容を明らかにすることを目的とした。大学学部生847名を対象として外傷後ストレス反応の程度を測定するIESを用いたスクリーニングを行った。IESに関して中程度以上の101名を抽出した。この内,調査への協力の意思を表明した57名に対して,6ヶ月後に再度,調査を行った。その時点においても中程度以上であり,かつ実験参加に同意した17名を,構造化開示群(6名),自由開示群(5名),統制群(6名)に無作為に配置した.実験参加者は1日20分,3日間で筆記を行った。筆記前後で,操作の妥当性をチェックする変数,気分状態を測定した。また,筆記後には,不安や抑うつに効果を示すマインドフルネス訓練の中核を占める(出来事に関する認知からの)「距離化」の程度について7件法で自己評定を求めた。さらに,3日間の筆記セッションの前後で,心身健康・高次認知機能を測定した(筆記前,筆記1ヶ月後,3ヶ月後)。その結果,距離化について,統計的に有意なものでは無かったが,構造化開示群において増大が認められ,構造化開示が距離化を促進する可能性が示唆された。また,全般的に,構造化開示群に関して,統計的に有意な身機能増進効果は示され無かったが,主観的な苦痛度の低減については,その効果が示唆された。
内容分析については,先行研究では,「なぜなら」などの「因果語」を含めた「認知語」の増大が心身健康の増進と正の相関関係にあることが示唆されていた。そこで,本研究における「認知語」と各効果指標との相関を構造化開示群,自由開示群毎に検討した。その結果,構造化開示群において因果語が多いほど苦痛度が低いことが示され,構造化開示の有効性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

全体的には,内容分析も遂行され,進んでいるが,予定されていた機器の選定・購入,それに基づく実験が遂行されておらず「やや遅れている」と評価できる。機器購入後に行う実験は,構造化筆記開示が前頭前野背外側部の脳血流量の増大に及ぼす影響を,統制群との比較において検討するものである。

今後の研究の推進方策

早急に,専門家へのヒアリングを行い,研究遂行に必要な機器の選定・購入,それに基づく実験を行うことで,当初の目的を遂行する。機器購入後に行う実験は,構造化筆記開示が前頭前野背外側部の脳血流量の増大に及ぼす影響を,統制群との比較において検討するものである。

次年度の研究費の使用計画

脳血流量の測定機器(約100万円)に関して,機種の選定と購入を今年度に行うことができなかったため。
次年度に,脳血流量の測定機器(約100万円)に関して,機種の選定と購入,それを用いた実験を行う計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] トラウマ体験の有無とその構造化開示が心身機能に及ぼす影響2013

    • 著者名/発表者名
      吉田 真由子,長谷川 千詠,松田 郁緒,久楽 貴恵,佐藤 健二
    • 雑誌名

      徳島大学人間科学研究

      巻: 21 ページ: 61~80

  • [学会発表] マインドフルネスの心配低減のメカニズムの検討-注意の観点からの検討-2013

    • 著者名/発表者名
      森 詩菜,佐藤 健二
    • 学会等名
      日本行動療法学会
    • 発表場所
      帝京平成大学(東京都豊島区)
    • 年月日
      20130823-20130825

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公開日: 2015-05-28  

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