研究課題/領域番号 |
25380933
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
池田 望 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (00274944)
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研究分担者 |
大山 恭史 独立行政法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (80356675)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | アスペルガー症候群 / 社会的認知 / テキストマイニング |
研究概要 |
青年期に社会不適応となりアスペルガー症候群(AS)と判明する事例は少なくない。不適応要因に、ASに特有な認知的特性が想定される。そこで本研究ではASの社会的認知および神経認知の特性と社会不適応状況との関連を検討する。 2013年度は、AS当事者を対象として社会的認知と神経認知を測定した。また併せて社会不適応状況に関するグループディスカッションから得たAS当事者の発言データをテキスト化した。なお個別インタビューも一部実施した。 認知機能の測定にはWAIS-III、WCST、感情知覚検査(JACFEE)、原因帰属検査(EASQ)、2次誤信念課題を用い、併せてSelf-rating Depression Scale(SDS)を実施した。現在のところAS対象者9名分のデータを得ている。対象者の平均年齢は30.4±6.3歳、平均FIQは118.1±13.2、VIQは122.4±12.3、PIQは109.4±17.3であり、性別は男性6名女性3名であった。SDSは平均45.3±7.1であった。WCSTはCA、PEN、DMSともに良好な値であった。EASQでは否定的事項を自身に帰属させる傾向が相対的に強く、当該状況に対する自己統制感も相対的に弱かった。JACFEE、2次誤信念課題では特徴的な傾向は現在のところ認められていない。今後、データを追加した上で各尺度得点の傾向を確認し、相関分析による関連性の検討を行う予定である。 グループディスカッションの発言データ(各2時間程度)については20回分のテキスト化を終えた。今後、個別インタビューデータを含めてさらにテキスト化を進め(全部で30回分程度を予定)テキストマイニングによる分析を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画に関する倫理委員会の承認が年度の後半以降となり、認知機能データ収集作業の開始も同様に年度の後半以降にずれ込んだため、データ数が少ない状況となった。 しかし、2014年度に入り順調に作業が進み、データが積み重なってきていることから、徐々に認知機能の傾向が把握されてきている。 一方、発言データのテキスト化は比較的順調であり、個別インタビューに関しては予定より早く開始することができている。
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今後の研究の推進方策 |
認知機能データの収集を継続し、2014年度上半期までに一定の結果を示す。併せて個別インタビューを含めた発言データのテキスト化についても継続し、年度内にテキストマイニングの実施、および予定しているコレスポンデンス分析等、その他の統計解析を実施する。 以上のために、対象者募集の活動を積極的に実施するとともに、テキスト化にあたる人員を可能な範囲で補充する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画書の倫理審査承認決定が遅くなり、認知機能データの収集開始が2013年度の後半以降にずれ込んだため、予定していた対象者への謝金およびデータ整理の人件費・謝金として確保していた予算を執行できなかったのが主な理由である。 2013年度分については認知機能データの収集作業を迅速化する事で早期に執行していきたい。発言データのテキスト化および分析作業についても迅速化するため、必要な機器やソフトウエアの購入等、分析環境の充実を2014年度分と合わせて可能な範囲で図ることとする。その他の2014年度分については学会報告のための旅費、データ等資料整理や研究協力者への謝金等に主に使用する。
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