研究課題/領域番号 |
25380935
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
近藤 真前 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 臨床研究医 (30625223)
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研究分担者 |
中山 明峰 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30278337)
渡辺 範雄 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, トランスレーショナル・メディカルセンター, 室長 (20464563)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 慢性めまい / 認知行動療法 |
研究実績の概要 |
平成25年度に引き続き、平成26年度も慢性めまいに対する集団認知行動療法の単群予備的介入研究を継続し、平成27年3月時点で症例数はのべ43例となった。40例実施時点の中間解析にて、主要アウトカムであるめまいによる機能障害(Dizziness Handicap Inventoryによる評価)は治療開始時51.70±20.32、治療終了時36.85±20.52、治療終了3ヶ月後29.20±20.79、治療終了6ヶ月後24.45±22.66(平均値±標準偏差)であり、治療開始時に比較して、治療終了時にてp<0.01で有意に改善し、6ヶ月後まで改善傾向が維持された。また、その効果サイズは、治療開始時に比較して、治療終了時に0.73、終了3ヶ月後に1.09、終了6ヶ月後に1.27であり、平成25年度時点よりも大きな効果サイズを得た。十分な長期的治療効果があると推測された。また、副次アウトカムであるめまい・自律神経症状頻度(Vertigo Symptom Scale-short form)においても、その効果サイズは、治療開始時に比較して、治療終了時に0.48、終了3ヶ月後に0.85、終了6ヶ月後に1.02であり、機能障害だけでなく症状頻度の改善でも大きな効果サイズを得た。なお、このVertigo Symptom Scale-short formについて、日本語版の妥当性・信頼性、および因子的妥当性を示した論文を英文雑誌に投稿し掲載された。また、平成25年度での22例実施時点のデータが日本心身医学会雑誌『心身医学』に原著論文として掲載された。 その後も、治療が終了した参加者からの質的、あるいは量的フィードバックを得ながら治療プログラムの改良を継続しており、それにより、第2世代認知行動療法の治療要素を採用するよりも、第3世代認知行動療法に分類されるアクセプタンス&コミットメント・セラピーのコア・プロセスを採用するほうが効果が高いと考えられた。それを受けて、前庭リハビリテーションとアクセプタンス&コミットメント・セラピーを組み合わせたプログラムを開発中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に引き続き平成26年度も、コホート研究・前後比較研究デザインにて、慢性めまいに対する集団認知行動療法の単群予備的介入研究を継続し、中間解析により前年度よりさらに長期的治療効果が高いと考えられる結果が得られた。その結果を受けて、第3世代認知行動療法に分類されるアクセプタンス&コミットメント・セラピーを採用してプログラムの検討を重ねており、当初の予定どおりの進展状況である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度も、コホート研究・前後比較研究デザインにて、慢性めまいに対する集団認知行動療法の単群予備的介入研究を継続し、治療プログラムの改良を継続する。そして、プログラム開発の進展状況を見て、通常治療群を対照群とした無作為化比較試験に移行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
各種学会に参加したが、旅費等について当初の見積よりも少額の支出であったため。また、平成26年度は無作為化比較試験を実施するに至らず、人件費の支出が少なかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
無作為化比較試験の実施に伴う人件費、資料費、研究打ち合わせなどの費用に使用する予定である。
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