研究課題/領域番号 |
25380937
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | いわき明星大学 |
研究代表者 |
山本 佳子 いわき明星大学, 人文学部, 准教授 (90336462)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 発達障害学生支援 / 障害者雇用 / 就労支援 |
研究概要 |
研究代表者が担当する2大学の学生相談部門において、発達障害を持つ学生の個別相談を重ね、障害特性の理解・親面接・各種検査を施行してきた。模擬就労体験に対する意欲を引き出してきている。 一方、地域の就労受け入れ企業については、中小企業関係団体の協力により、50件の会社に対して、発達障害学生の受け入れ体験の有無、今後のインターンシップや就労受け入れの意向、また、そのために必要な支援についてのアンケートを行った。回収率は、平成26年2月時点で68%で、34社からの協力を得ることができた。 その結果、インターンシップや就労受け入れ経験のないところが4分の3を占め、認知度も「発達障害について知っている」と応えたのは4分の1に過ぎなかった。また、受け入れ経験があるところが必ずしも認知度が高くはないという現状も明らかになった。発達障害の就労についての研修会を開いた時の参加希望については、認知度の高い企業ほど積極的であるが、全体としても参加を検討すると応えたのは半分にも満たなかった。インターンシップや就労受け入れの可能性については、3分の1が「検討してもよい・検討」と応えたか、考えられる合理的配慮については、「難しい」「わからない」が3分の2を占め、特にジョブコーチの受け入れを「不可」としたのは4分の3であった。 以上の結果より、①現在受け入れているところは今後の採用にも前向き、②雇用姿勢と知識は関係ない、③雇用に前向きの企業は研修を求めている、④雇用に前向きのところは配慮も受け入れる用意がある、と、言える。また、業種についての検討からは、⑤印刷・宿泊・農業領域は雇用にも前向きであり、⑥建設・小売業は、雇用難しいということが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「大人の発達障害」を専門とする医療機関が少ない地域で、「発達障害」の診断をもつ人がそれほど多くないことから、研究がやや遅れている。 学生の準備状況の部分では、大学生になるまで未受診であった学生が多かったため、自己の問題や特性に向かい合うのには思った以上に時間や手続き必要となった。そのため、発達障害学生に対するアセスメントが現段階では不十分である。 また、発達障害を持つ人を受け入れている地域企業が少ないため、まず、意向アンケート調査を施行したが、より詳細なインタビュー調査も併せて施行している。が、年度内に修了できず、26年度に持ち越しとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、昨年度の不十分な点を補いながら、今年度の計画内容でもある外部実習に送り出すことを目標とする。 具体的には、個別面接対象の発達障害学生についてのアセスメントを引き続き行い、就労の場での必要な配慮事項を明らかにする。 また、地域の就労移行支援事業所や企業の協力を得て、インターンシップや実習・ボランティア体験をさせ、実際の就労の場で起こる問題について把握する。 さらに、企業・発達障害学生の持つ複雑な問題については、インタビューによる質的研究法を引き続き用い、まとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
主たる研究対象となる地域には、「大人の発達障害」を専門とするものが少なく、学生も未受診で大学まできていたり、企業にもまだ、なじみが薄い状態であった。 そのため、この研究の対象者である発達障害学生の個別面接の進み方が遅れていたため、アセスメントを施行するに至らなかったり、調査対象企業の選定が遅れたため、データ処理まで進んでいなかったため謝金の使用がなされなかった。 そのため、25年度分の支出が計画通りにいかなかった。 すでに、個別相談対象者で承諾が得られた学生から、アセスメントを施行しつつあるが、人数拡大のため、新たに発達障害学生の募集・登録を進め、アセスメント(検査)を順次行っていく。 また、すでに行っている企業アンケート、インタヴューの整理を早急に進めることとする。
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