研究課題/領域番号 |
25380939
|
研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
田中 勝博 目白大学, 人間学部, 教授 (90337634)
|
研究分担者 |
土田 恭史 目白大学, 人間学部, 心理カウンセリングセンター非常勤相談員 (30458559)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 描画療法 / PDI / ナラティブ / 橋画 / 今と将来 / 卵画・洞窟画 / 6場面構成法 / 自己理解 |
研究実績の概要 |
【研究課題】本研究は、描画を通じた体験過程の促進を図る技法の検討をすることが目的である。初年度は描画療法における物語PDI(描画後質問)の作用について検討した。 【研究成果】結果、自由な描画語りと物語PDIを用いることの間には統計的な体験の違いはないが、描画ナラティブの展開や深まりを、物語PDIが促進し、一貫したテーマを生みやすいことが示唆された。次年度において、別の描画を用いて同様にPDIの形式による描画体験の違いについての追試を行った。結果は同様のものであり、物語PDIを用いることで、描画理解についての深まりが生じることが明らかになったといえる。しかし一つの技法のみの描画面接では、自己理解や体験過程の促進に及ぼす影響は小さいことが二か年の研究の中で得られた課題であった。 そこで最終年度では、これまでの知見を踏まえ、単回ではなく描画プログラムを通じた自己イメージの変容に焦点を当てて研究を行った。6名の対象者に以下のテーマに基づく描画を行い、自己理解を促すことを意図した。各回のテーマは「自己概念と展望の把握(今と将来)」「無意識イメージの視覚化による気分と外的世界の認知(卵・洞窟画)」「自分の課題とリソースの確認と気づき(6場面構成法)」「展望についての査定、2回目と対比したアウトカム評定(橋画)」である。 調査の結果、これらの描画だけでなくPDIをしっかり行うことで、対象者の自己物語が明確化され鵜易い傾向があることと、異なる描画であるにもかかわらず、描出パターンに一定のパターンが出やすいことから、そのパターンが対象者の抱える心的傾向を示唆しうると考えられ、アセスメントとしての利用も可能であろうことが推察された。 【研究の意義・重要性】 描画後質問は自由な形式でもよいが、物語形式にするとクライエントの理解が深まりやすい。また複数の描画をプログラム的に用いることで、クライエントの自己理解やパターンが見えやすい。
|