本研究では恥感情が抑うつや怒りへと向かわせてしまうことを実証し,自己制御不全が破壊的結果をもたらす要因と考え,それを検証した。その結果,恥感情と自己制御は負の相関,恥感情とネガティブ反すう,怒りや抑うつとは正の相関が認められた。さらに,共分散構造分析の結果,反すうを媒介として,怒りや抑うつと関連することが示された。自己制御不全によってネガティブ反すうが高まり,怒りや抑うつへとつながる可能性が示唆された。恥感情と怒りや抑うつとのつながりを低減するのにワーキングメモリ内の自己否定的情報を肯定的情報へと切り替えていくことが有効と考え,自己肯定的経験想起を促す課題を実施した結果,恥感情傾向が減少した。
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