研究課題/領域番号 |
25380942
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 江戸川大学 |
研究代表者 |
松田 英子 江戸川大学, 社会学部, 教授 (30327233)
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研究分担者 |
岡田 斉 文教大学, 人間科学部, 教授 (30203996)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 悪夢 / 悪夢の苦痛度 / 自殺 / 抑うつ / 認知行動療法 / 認知的再構成法 |
研究概要 |
ストレス社会を反映して,睡眠障害の拡がりが認められている。睡眠障害はうつ病や生活習慣病のリスク因子であるが,その中でも特に「悪夢」は自殺のリスクを高める因子として近年注目されている。本研究では,成人(労働者・学生)を対象とした,「悪夢の認知行動療法に関する実証的効果研究」を最終目標とする。初年度(平成25年度)は「日本人成人における悪夢障害の実態と特徴の解明」のために研究のレビューと以下の3つの調査研究の実施計画を立てていた。 研究1「悪夢障害の有病率,悪夢症状の体験率の調査」は、日本心理学会第77回大会(H25年9月)にて一部成果を発表し,報告書を提出した(H26年3月)。研究2「悪夢とその他の精神疾患,心身症状との合併に関する調査」に関しては,「抑うつ症状」を選定し,研究3「悪夢が将来の精神症状(自殺念慮など)を予測するかの検討」を実施した。その結果,「悪夢の頻度」より「悪夢の苦痛度」がうつ病や自殺念慮との関係性が強い指標であることが判明した。そこで悪夢の苦痛度尺度(Belicki,1992)の日本語版翻訳出版の許諾を得て,日本人データによる再標準化手続きを行った。日本語版の速報については日本心理学会第78回大会(H26年9月)にて発表予定であり,公開の方法について投稿先を検討中である。研究3の縦断研究については,世界睡眠医学会(H27年3月)にて発表予定である。その後,心理学や精神医学関連の学会誌等で研究成果の発表を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1に関しては実施と公開が済んでいる。研究2に関しては,抑うつ症状を取り上げ検討したものの,その他の精神疾患や身体症状については今後更に検討の余地がある。研究3に関してはパネル調査を実施し,分析が終了しているので,今後公開にむけて作業を進める。研究2,3から新たな尺度の作成の必要性が出現し,こちらの作業も同時に進めた。総合的にみて,概ね計画は順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画に,夢とその他の精神症状の合併に関する調査から,「悪夢の頻度」より「悪夢の苦痛度」がうつ病や自殺念慮との関係性が強い指標であることが判明したため,悪夢の苦痛度尺度の日本語版の作成ついての作業が新たに加わった。既に日本人データによる再標準化は行ったが,今後はこの尺度を公開する作業を進めながら,H26年度以降の研究においては,この尺度を使用して,「覚醒時の思考と悪夢の思考の連続性に関する認知科学的解明」の研究計画を遂行することとなる。現在は,平成25年度研究協力者のうち悪夢症状に強く悩まされている者を抽出し,今後の研究計画の協力者を抽出する作業を進めている。平成26年度は以下の2研究を実施する予定である。 研究4 悪夢患者特有の認知的,行動的特徴,例えば入眠前の過剰な認知的活動,入眠前の儀式的行動,覚醒時の思考や行動パターンなどを,そうでない者(年齢,性別を統制した上で)と比較する調査研究を実施する。(横断研究) 研究5 研究協力者が体験したストレスフルライフイベントに対する認知と,悪夢の中に現れるイベントや認知との連続性について検討する。(縦断研究)
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の予定であったノート型パソコン(2台)とカラーレーザープリンター(2台)を購入しなかったため残額が生じた。 研究の進捗に合わせて購入予定である。また研究成果の公開に向けた諸費用に積極的に運用する予定である。
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