コーチング心理学はヨーロッパ諸国においてエビデンスに基づいた1つの学術分野とする試みがなされているが、本邦における実証的研究は極めて少なく、効果評価の客観的評価方法や適用の可能性などの詳細な検討が必要とされている。研究期間最終年度では、2回のウェブ調査によりコーチング心理学の介入効果のエビデンスを確認するための尺度の作成とコーチングプログラムの作成を行い、様々なフィールドにおいて実践しプログラムの有効性の確認を行なった。コーチング介入効果のための尺度作成にむけてインタビューによる項目収集、文献による検討、web調査による検討を全研究期間を通じ行うことで妥当性・信頼性のある尺度が作成された。ピアコーチ、ピアクライアント、ピア観察者を基本としたピアコーチングプログラムは学生、勤労者、女性を対象として実践しその有効性の実証的検証を行った。これらの成果については国内学会、国際学会における研究報告、海外のコーチング心理学研究者との共同論文執筆、著書の分担執筆、簡易版マニュアルの作成などにより行った。また、国際コーチング心理学会、ヨーロッパ健康心理学会、国際心理学会などの国際心理学会でのコーチング心理学研究者との情報交換を行うことで新たな知見の獲得やスキル向上が図られた。海外のコーチング心理学の中心的研究者を招聘した国内学会での講演会やワークショップの開催や地域勤労者向けのセミナーの開催は国内におけるコーチング心理学の研究の発展を促すきっかけとなった。その他にも子育て中の女性や就職活動中の大学生などを対象にしたコーチング心理学に関する講演や研修セミナーなども開催した。
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