研究実績の概要 |
平成26年度は,コンパッション・セラピーに関する日米比較文化研究を行った。アメリカのボストン大学に所属し,不安障害センターのHofmann教授の指導の元,Hofmann教授が考案した慈悲の瞑想プログラムに基づき,アメリカでコンパッション(慈悲)の瞑想の臨床試験を実施し,完了した。また,コンパッションと文化的自己観,幸福感,社交不安症,うつ傾向の関係に関して,以下のような調査研究を日米で行った。 方法 参加者 成人250名程度(日本,アメリカ在住者)。 手続き Web上で,Self-compassion Scale(Neff, 2003; 有光, 2014),Compassionate Love Scale(Sprecher & Fehr, 2005),Differential Positive Emotions Scale (Shiota et al., 2006),Trait Guilt Scale (Onishi, 2008),Rosenberg自尊心尺度(10項目, 5件法;山本他, 1982),相互独立的―協調的自己観尺度(Markus & Kitayama, 1991),Social Anxiety Questionnaire for adults (Vicente et al., in press),Taijin Kyofusho Scale (Kleinknecht et al., 1997),ベック抑うつ尺度(Beck et al., 2003),Satisfaction With Life Scale (Diener et al., 1995),Interdependent Happiness Scale (Hitokoto & Uchida, 2015)等を実施した。 結果 セルフ・コンパッション,コンパッション・ラブ,ポジティブ感情が日本人よりもアメリカ人の評定値が高いなど,予測に従った結果が得られている。一方,コンパッションと抑うつ,社交不安といった精神疾患の関係には文化的な違いはなかった。現在,さらに詳細について分析中である。
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