本研究は,コンパッション・セラピーに関する比較文化研究を行うことを目的とした。研究1では,日本人の自己批判傾向が高いことを確かめるために,自己批判スキーマ尺度を作成し,3因子構造であること,十分な内的整合性を持つこと,様々なメンタルヘルスの指標と相関を示すことを確かめた。研究2では,日本とアメリカでweb調査を行い,コンパッションに関連する諸変数と肯定的,否定的感情の関係性が文化間で異なることを明確にした。研究3では,社交不安症の成人を対象に,12週間の慈悲の瞑想プログラムを実施し,介入プログラムによってセルフ・コンパッションと肯定的感情が上昇し,社交不安と抑うつが減少することを明らかにした。
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