研究課題/領域番号 |
25380949
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
越智 啓太 法政大学, 文学部, 教授 (40338843)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | デートバイオレンス / ドメスティックバイオレンス / 恋愛関係 / 暴力 / ハラスメント / 虐待 |
研究概要 |
本研究の目的は、大学生のデートバイオレンス・ハラスメントについての現状を把握するとともに学生相談機関などにおけるエビデンスに基づいた対処方法を明らかにすることである。本年度の研究の目的は大学生を対象として、デートバイオレンス・ハラスメントの現状を把握するとともに、加害者特性、被害者特性を明らかにすることにあった。 そこで恋愛関係にある、あるいはあった女子大学生600名を対象として、恋愛関係の二者間で発生する、身体的暴力、レイプなどの直接的な暴力行為および言葉による侮辱やつきまとい、支配などのハラスメント行為も含めた行為についてその頻度や加害者被害者特性を測定するためのウェブ調査を行った。従来の研究と異なり網羅的なバイオレンス・ハラスメント行為をあげ、その経験の有無を評定させた。この結果を因子分析し、バイオレンス・ハラスメント行為の程度を測定する、直接的暴力、間接的暴力、支配・監視、言語的暴力、経済的暴力、つきまといの6つの尺度を構成した。次にクラスター分析等によって、これらの尺度間の関係を示すとともに、それらの行為と関連する様々な要因との関連について明らかにした。 結果を要約すると以下のようになる。1)直接的暴力は生起頻度が小さく、他のバイオレンス・ハラスメント行為との間に相関が少ない。2)生起頻度が大きいのは、支配監視、言語的暴力、経済的暴力である。3)自分が該当するハラスメントを行うことと相手から受けることに比較的高い相関があった。4)喫煙が各種ハラスメント行為と比較的高い相関があった。5)相手方の経済状況がわるいほど、バイオレンス・ハラスメント行為が発生しやすかった。6)交友関係、容姿、年齢差などはバイオレンス・ハラスメント行為との間に相関はなかった。今後は加害者のパーソナリティ要因との関係について検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたより多くの被験者を使用した調査が実施できた。ウェブ調査のノウハウを蓄積したので、本年度と最終年度についても同様の調査実施の可能性が増え、大学生に対する紙ベースでの調査に比べて遙かに多くのデータが収集できる道筋ができた。各種統計技法の習得及び文献研究も当初の計画通り進展していて問題はない。現在までの成果の一部は、紀要論文としてすでに投稿した。
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今後の研究の推進方策 |
当初、紙ベースで収集するはずだったデータをウェブ調査で実施することにした。その結果費用がかなり増加するが、もともとデータのコーディングや集計に使用するはずだった人件費の一部をあてることや購入予定だったコンピュータの購入を先送りすることなどによって費用的には乗り切れそうである。ウェブ調査を導入したことでサンプリングがより広範囲に出来るようになり、データの質が向上したので、当初の予定よりも質の高い結果を残すことが出来そうである。論文化も例年よりも早く取りかかりすでに結果の一部は投稿済みであるが、このペースで今後もすすめていくつもりである。
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