研究課題/領域番号 |
25380950
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
伊藤 直樹 明治大学, 文学部, 教授 (50327087)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 学生相談機関 / ウェブサイト / 情報発信 |
研究概要 |
大学には潜在的には相談ニーズを抱えながらも相談機関の利用に結びつかない学生が多いことが指摘されている。学生の中には学生相談機関の利用に心理的抵抗が大きい場合や,どこで必要な援助を受けられるかを知らない場合も少なくない。利用を考えた学生の中には,インターネットにより学生相談機関のウェブサイトを通じて情報を入手する学生も多いと予想される。こうした最初の「接触機会」を確実に相談機関の利用に結びつけることは,学生支援の充実を進める上できわめて重要な課題といえる。 本研究は,こうした点を踏まえ,大学の学生相談機関の利用を促進する方策として,学生相談機関のウェブサイト上における情報発信の改善方法を探ることを目的とする。 2013年度は,近年のインターネット環境等の変化を踏まえた上で,学生相談機関がウェブサイト上で展開する情報発信についてのデータを収集することを目的として研究を行った。 2013年4月~5月に,日本315大学,アメリカ282大学,イギリス70大学,台湾60大学を対象に学生相談機関のウェブサイトを閲覧した。この作業を通じて,今回の一連の研究において収集する51の情報カテゴリを決定し,閲覧した内容をその情報カテゴリに基づき分類整理した。また,各大学の設置形態(国立・公立・私立)及び大学規模の指標として学部在学生数を調査した。日本とアメリカについては,最近の変化を明らかにするために2004年調査,2005年調査データを加えた。これらの作業により,次年度以降の分析のためのデータセットを完成させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の遂行過程において,予想外の問題は生じていないため,当初の計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2014年度は,2013年度に作成したデータセットを用いて,次の点を中心に研究を進める。1.2004年調査と2013年調査のデータを比較検討することで,日本の学生相談機関の情報発信の変化について明らかにし,そこから日本の学生相談機関の情報発信の課題について示唆を得る。2.2005年調査と2013年調査のデータを比較検討することで,アメリカの学生相談機関の情報発信の変化について明らかにし,そこからアメリカの学生相談機関の情報発信の特徴を明らかにする。また,日本とアメリカの変化を比較することで,日本の学生相談機関の情報発信の課題について示唆を得る。3.日本,アメリカ,イギリス,台湾の学生相談機関の情報発信のデータから学生相談機関の情報発信の構造を探る。4.日本,アメリカ,イギリス,台湾の学生相談機関の情報発信の仕方の差異を分析することで,各国の情報発信の特徴を明らかにする。5.以上の研究をもとに日本の学生相談機関の情報発信の課題を明らかにし,2015年度に実施する学生相談機関の情報発信に関する全国調査の準備を進める。全国調査では,学生相談機関にとってのウェブサイトを通じた情報発信に関する課題や,学生のウェブサイトの利用状況,実際の来室との関係などをたずねる。 2015年度は,全国調査の結果を分析し,学生支援と学生来室の促進に効果的な情報発信の方法について示唆を得ることを目指す。
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