精神科クリニックに受診した登校の問題を持つ若年者の中、DSM-IVTRの社交不安障害の診断基準を満たす39名(平均年齢16.2歳±3)を対象とした。対象を2群に分け、17名(男性2名、女性15名)には6か月間集団認知行動療法(CBT)を実施した(CBT群)。CBTは2-3名からなる集団に対して週に1回(60分間)の心理教育を行い、加えて、個人CBTとして曝露反応法、曝露反応妨害法、行動強化法、モデリング法暴露による課題を与えた。CBTの効果の指標として、介入前後に登校の状況を聴取し、社交不安の程度をLiebowitz Social Anxiety Scale(LSAS-J)を用いて評価した。残りの22名(男性10名、女性12名)には6か月間のスクールカウンセリング(SC)を実施した(SC群)。SCの効果はCBTと同様に、登校状況の聴取とLSAS-J評価を介入前後に行った。 登校状況について、CBT群では64.7%で改善が得られ、SC群(50%)よりも改善率は高かったが、両群間に有意の差は認められなかった。 社交不安に関して、CBT群ではLSAS-Jの総得点はCBT前が平均56.3±6.4であり、CBT後は平均50.6±5.9と有意な低下(p<0.01)が認められた。これに対してSC群ではSC前のLSAS-Jの総得点は平均54.3±6.3、SC後は平均50±8.6であり、SC前後に有意な差は認められなかった(p=0.07)。 これらの結果から、不登校の問題を有し、社交不安障害と診断される若年者に対するCBTとSCの効果では、登校状況の改善には有意な差が認められないものの、CBTの方がSCよりも改善率が高いことが示された。また、社交不安については、CBTはSCよりも有効性が高いことが示された。 以上により、登校の問題を持つ社会不安障害の若年者にCBTを用いることの有用性が示唆される。
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