我々は、乳がん患者を対象に実存的苦痛に焦点付したグループ療法プログラムを実施し、絶望感が高い群でスピリチュアルペインが改善することを確認した。そこで、グループ療法の会話記録を修正版グランデッド・セオリーにより分析した結果、8つのコアカテゴリーからなる実存的苦痛が緩和するプロセスが見出された。がん患者の他のピアサポート活動での質的分析と比較すると、自己の再確認や現実の受容、そして未解決の葛藤に向き合うなど、内面的な変化がプロセスとして表れているのが特徴的であった。一方、グループ療法の効果からは、「自己開示」および「前向きな対処」でプロセスが留まってしまう事例が見出された。
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