研究課題/領域番号 |
25380961
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
安田 裕子 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 研究員 (20437180)
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研究分担者 |
佐藤 達哉 立命館大学, 文学部, 教授 (90215806)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ライフとキャリア / 質的研究法 / 文化心理学 / システム / 不定 / 対話的自己 / 分岐点 / 国際情報交換 |
研究概要 |
(1)実践的適用(個人):子どもを望む女性のライフの検討を、著書の執筆というかたちで進めた(タイトル「不妊治療の終結をめぐる当事者の語り―生殖補助医療の進展のなかで可視化される、子をもつ願望とその相克」)。TEAを用いた分析・執筆は幾分遅れ気味であるが、学会発表というかたちで検討を進めてきた((3)を参照のこと)。 (2)実践的適用(協働):TEA研究会を、6月には京都と東京で、11月には東京で、2月には京都で開催し、異分野多領域の研究者と実践的適用・理論的精緻化について議論した。現在、TEAに関する著書、『ワードマップTEA(仮)』(平成26年10月刊行予定)の作成に取り組んでいるところである。これに関わり、2月末には、その執筆原稿を持ち寄り、24の項目について議論・検討し合う合宿を福島にて実施した。 (3)国内外の学会等での発表:8月には、韓国健康心理学会でポスター発表を行い、また、日本心理臨床学会と日本質的心理学会でシンポジウムを実施した。9月には、日本心理学会でシンポジウムを企画した。そして、11月には、対人援助学会でポスター発表を行い、また、シンポジウムを企画した。1月には、立命館大学人間科学研究所の年次総会・私立大学戦略的研究基盤形成支援事業公開研究会で、3月には日本発達心理学会で、ポスター発表を行った。これらの発表を通じて成果の発信を行うとともに、様々な観点からTEAに関する検討を進めた。 (4)文化心理学国際セミナーへの出席:3月に、ブラジル・サルヴァドールで開催されたセミナーに参加し、グローバル・ネットワークのなかで、「触媒」をキーワードに、文化心理学や質的研究に関し、学び進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していなかった著書(『ワードマップTEA(仮)』、共編著)の作成・刊行の話を平成25年度の初秋にいただき、次年度(平成26年度)の秋の出版に向けて、急遽企画することとなった。目次をたて、多くの執筆者に原稿の執筆を依頼し、2月末には執筆検討会合宿を実施して、現在、鋭意編集作業などを進めているところである。このこと自体、質的研究法TEAの精緻化という点でも、質的研究法TEAをいかに使用するかを協働的に学ぶという教育的な観点からも、本研究課題を進めるうえでの重要かつ大きな成果である。ただし、予定していなかったことに相当のエネルギーを注ぐ必要が生じたため、その分、当初計画していたことが幾分遅延気味になっている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度前半の大目標のひとつに、著書(『ワードマップTEA(仮)』)の秋の刊行を掲げ、その準備をしっかり進めていく。このことに関わり、特に、幾分か遅れが生じている「実践的適用(個人)」について、前年度の予定を繰り下げるかたちで計画を変更し、また全体を調整して、本年度は以下のように研究課題を推進する。 (1)実践的適用(個人):子どもを望む1人の女性が、治療をしながらも、一方で社会的な活動の場を広げ、また、不妊の喪失に向き合う夫婦の関係を築きながら歩み進めていったライフの変容・維持過程を、対話的自己論を組み入れ検討・論文化する。 (2)実践的適用(協働):各研究者や援助者が関心を寄せている様々な現象を対象に検討し合う、実践的な研究会を開催する。まずは5月には東京で、6月には京都での開催を予定している。なお、6月に京都で開催する研究会は、言語学の研究者、北出慶子准教授(立命館大学)との協働によるものである。北出准教授が、別途TEAに関するプロジェクトを言語学の分野において進めておられ、その推進にも積極的に協力する。 (3)理論精緻化:対話的自己論との接合可能性の検討を進める。8月には、研究分担者であるサトウタツヤ教授(立命館大学)とともにオランダ・デンハーグで開催される第8回対話的自己国際学会に出席し、また、その直後にデンマーク・コペンハーゲンにて開催が計画されている、文化心理学と発達に関するセミナー等に出席する。『対話的自己論』の翻訳作業も進めていく。また、8月より、ライフとキャリアに焦点をあてたTEAに関する書籍の刊行(当初からの計画)に向けた準備を始める。
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次年度の研究費の使用計画 |
合宿形式で福島にて開催を予定していた研究会(2月末)や、ブラジル・サルバドールで開催が計画されていた文化心理学のセミナー(3月末)に出席するために、年度末に多くの旅費が必要であることが見込まれていたため、年度途中より、物品購入などを極力控えていた。すると結果として、3月31日の年度末締切り時点で、予想以上の残額が出ることとなった。また、学内の研究分担者に配分させていただいていた分担金が比較的多く残された、ということもあった。こうした理由により、上記のような次年度使用額が生じることとなった。 平成26年8月に出席を予定している第8回対話的自己国際学会(於:オランダ・デンハーグ)に抱き合わせるかたちで、その直後に、文化心理学と発達に関するセミナーが、デンマーク・コペンハーゲンで開催される予定である。前年度からの残額は、第8回対話的自己国際学会に引き続きそのセミナーに出席するための旅費に充てることを計画している。 なお、平成26年度の全体の経費としては、物品費は書籍や文具等を中心に、旅費は前記に加えて国内外の学会等に出席するため、および、学会や研究会において研究協力いただく報告者の移動用経費に、人件費・謝金は研究会での運営アルバイト費や講演謝金等に、その他は学会参加費や英文校閲等に充当するものである。
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