最終年度は,これまで行ってきた結果をもとに,保護者のメンタルヘルスリテラシーに関する心理教育的支援のポイントについてまとめた。 具体的には,次のようなポイントがあげられた。(1)保護者についても,若者やこれまで行ってきた対象者と同様に,支援につながるようなメンタルヘルスリテラシーの向上の工夫が必要であること,(2)中でも,メンタルヘルス不調の「気づき」としての早期発見や適切な早期支援が求められること,(3)保護者が「役に立つ」と思う支援として,専門家への期待が高かったことに加えて,家族や周囲の人などインフォーマルなサポートへの期待も高かったことから,今後はインフォーマルな支援のあり方についてもより詳細な検討を加える必要があること,(4)今回提示した事例の別を問わず,保護者が大切だと認識している支援のあり方として「愛情を注ぐ」・「よき理解者として話を聴く」といった割合が高かったことから,保護者のこうした姿勢をしっかりとサポートする必要があること,(5)保護者は(4)のような姿勢がある一方で,具体的な支援を行うことについては「全く自信がない」や,援助を求めることについて「不安がある・心配がある」といった割合が高かったことから,保護者のこうした心情も十二分に理解すること,(6)メンタルヘルスに関する情報へのアクセス割合が低調であったことから,保護者のもとへ届く情報のあり方についても検討する必要があること,などがあげられた。 以上のような点を考慮した心理教育のあり方・創意工夫が,求められるのではないかと考えられた。
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