研究課題/領域番号 |
25380972
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
本山 智敬 福岡大学, 人文学部, 講師 (10551434)
|
研究分担者 |
平井 達也 立命館アジア太平洋大学, 教育開発・学修支援センター, 准教授 (80389238)
土井 晶子 神戸学院大学, 人文学部, 准教授 (10465677)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | パーソンセンタード・アプローチ / ポジティブ心理学 / 学習する組織 / 一致 / リーダーシップ |
研究実績の概要 |
平成26年度はセルフデザイン・リーダーシッップ(SDL)の概念化の作業を引き続き進める中で、企業で働く人11名を対象とした研修プログラム(パイロット版)を実施した。期間は2014年11月から2015年6月にかけて、平日2時間、週末7時間の研修をそれぞれ月に1回ずつ、計14回のプログラムで計画した(現在は12回まで終了)。研修プログラムを行う中で、特に我々のアプローチのキーコンセプトとなる「セルフデザイン」という考え方の詳細を検討した。その結果、「プロセス・モデル」とロジャーズの三条件の基本的態度の1つである「一致(自己一致)」という2つを鍵概念とした、パーソンセンタード・アプローチ(PCA)の理念が基本概念にあたることを確認した。また、研修内容を検証した結果、ポジティブ心理学の知見はSDLの重要な考え方をになっており、また学習する組織は、SDLの具体的な実現に向けて進めていく上での有益な方法論を提供していることが明確となってきた。そうしたことから、SDLは「パーソンセンタード・アプローチ」を基本概念とし、「ポジティブ心理学」の考え方と「学習する組織」の方法論とを併せ持つ、統合的なリーダーシップ論であると位置づけた。SDLの概念化は引き続き平成27年度も検証していく。 また、共同研究者の平井によって、大学生を対象とした研修プログラムも、大学の授業や課外活動を通して実施してきた。その知見をもとに、SDLは企業で働く者だけでなく、大学生の人材育成にも有効であることを検証した。 平成26年5月には、アメリカ/ワシントンDCで開催されたASTD(組織開発に関する国際的カンファレンス)に、本山、西木、平井の3名が参加した。ASTDでは様々なリーダーシップ論や組織開発の手法が紹介され、SDLの理論構築に参考となる資料を多数収集することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研修プログラムのパイロット版の実施を実現した。11名の参加者が集まり、8ヶ月にわたって継続的、安定的にプログラムを遂行することができた。プログラムは平成27年6月まで継続中である。 研修プログラムの実施によって、SDLの理論化をさらに推進することができた。また、平井の実践と統合することによって、SDL理論の対象を大学生にも拡大していくための知見を得た。最終年度の研究遂行に向けての知見やデータは、おおむね収集することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、本研究の最終年度に当たるため、これまでの研究成果をまとめる作業を進めていく。その過程でまずは、9月に愛媛で開催される人間性心理学会での発表を予定している。社会人および大学生を対象とした研修プログラムから得られた知見/データを総合し、「包括的SDL研修プログラム」の構築に向けて検討を重ねていく。 また、SDLのキーコンセプトである「セルフデザイン」という用語についても、引き続き詳細な理論化を進めていくこととする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の土井が、当初参加予定であったMBTIの研修(SDL研修プログラムの内容に関連した資料収集のための研修)に都合により参加できなかったため、次年度使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
土井は平成27年度にMBTIの研修に参加する予定である。また、平成27年度助成金は主に、日本人間性心理学会第34回大会参加のための旅費、研究分担者および研究協力者との研究打ち合わせのための旅費、研究資料収集のための各種研修参加のための旅費、その他必要物品購入に使用する予定。
|