研究課題/領域番号 |
25380981
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
内藤 智之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90403188)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 網膜神経節細胞 / 外側膝状体ニューロン / 一次視覚野 / 方位選択性 |
研究概要 |
平成25年度はネコ外側膝状体(LGN)ニューロンの刺激方位選択性に対する刺激空間周波数、刺激サイズおよび輝度コントラストの影響を検討した。その結果、LGNニューロンの方位選択性は高空間周波数及び広域刺激に対して顕著に観察され、輝度コントラストには不変であった。またLGN内GABA抑制が刺激方位選択性の輝度コントラスト不変性形成に関与していることを明らかにした。以上の結果を英文原著論文として報告した。 更にLGNニューロンの刺激方位選択性が網膜神経節細胞(RGC)由来であることを検討するために眼球内に刺入した金属電極からRGCの視覚刺激に対するスパイク応答を細胞外記録法で記録し、同時にLGNに記録用金属電極を布置し視覚刺激誘発スパイク応答を細胞外記録した。RGCニューロンはLGNニューロンと同等の受容野楕円性及び刺激方位選択性を有し、最適方位が類似した細胞同士においてRGCからLGNへの直接投射が観察された。この結果は、刺激方位選択性はRGCにおいて既に生じており、RGCの方位選択性が興奮性直接投射によりLGNニューロンに引き継がれることを示唆している。本研究結果を英文原著論文として報告した。 また平成26年度以降に予定していた実験の内、大脳皮質一次視覚野(V1)内ニューロンの刺激方位選択性形成メカニズムについて平成25年度に前倒しで検証を行った。その結果、V1出力層(2/3層)ニューロンの刺激方位選択性は主に入力層(4層)の方位選択性を反映しており、2/3層内近傍ネットワークの影響は小さいことを見出した。本研究結果を英文原著論文として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に予定していた、網膜神経節細胞と外側膝状体中継細胞の方位選択性形成メカニズムの検討は当初予定通り終了し、研究結果を2篇の英文原著論文として報告した。また平成26年度以降に予定していた大脳皮質一次視覚野内での刺激方位選択性の形成メカニズム関する研究の一部を平成25年度に前倒しで実施し、その結果を英文原著論文として報告した。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度はLGNニューロンの方位選択性がV1ニューロンのそれに直接寄与している可能性を検討するために、LGNとV1での同時ニューロン活動計測を行う。麻酔・非動化したネコにおいて、V1に多点同時記録用細胞外電極を刺入し、マルチユニット活動を記録する。対象となるV1ニューロンとと受容野位置の一致するLGN部位に多点同時記録用細胞外電極を刺入しマルチユニット活動を同時記録する。逆相関法及び部分空間逆相関法を用いてLGNニューロンおよびV1ニューロンの受容野構造、刺激方位選択性、空間周波数選択性を計測し、刺激方位選択性の類似度を直接結合のあるペアとないペアで比較し、直接結合のあるペアにおいて直接結合のないペアよりも刺激方位選択性が類似しているかどうか検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
大脳皮質広域同時記録用金属電極及び電極設置に必要な器具の受注生産の一部が平成25年度内で完了せず、平成26年度に持ち越したため、支払額を平成26年度に繰り越しした。 平成25年度に予定していた物品購入について電極購入費用466,476円の使用を平成26年度に実施する。
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