事象関連電位を指標とした研究により,認知制御における抑制機能に感情処理が影響することがわかっているが,その影響の現れ方は研究間で一貫しない。本研究では,その原因について調べた。その結果,課題とは無関連な妨害刺激の存在が,抑制機能の働きを抑えたり,抑制機能に対する感情処理の影響を発現しにくくしたりする可能性のあることが示された。また,抑制機能には報酬系に起因する個人差があり,新規な刺激や報酬刺激に対して衝動的に思いつきで接近しやすい傾向の高い人ほど,認知制御に基づく競合適応効果(情報間の競合の検出により後続する刺激の処理がバイアスを受け,パフォーマンスが変化する現象)が生じやすいことがわかった。
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