研究課題/領域番号 |
25380983
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
中田 隆行 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (00281155)
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研究分担者 |
Ruthven Stuart 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (40278148)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 人工内耳 / オンライン教育 / タイミング表現 / 事象関連電位 / 音楽知覚認知 |
研究実績の概要 |
オンラインで受講できる音楽学習プロジェクトがパラ言語の理解、そして音楽の理解に与える効果ついて、音楽学習題材の改変を行った。その後、健聴児を対象に実験を開始し、現在はデータ収集中である。 音楽を教材とする際に重要な要素である音楽のタイミング表現について、継続して研究を進めた。ピッチのずれに対する脳内情報処理に与える影響について、2014年度中に得られた事象関連電位データの分析を行った。その結果、拍が一定のタイミング表現の条件では、拍間隔が変動するプロの音楽家の演奏のタイミング表現の条件よりも、音高のずれに対するミスマッチ陰性電位がより強く出現することが明らかになり、この新しく得られた知見について国際会議に投稿した。また、拍間隔が一定の歌と、拍間隔が変動するプロの音楽家のタイミング表現に従う歌に対する乳児の関心について実験を行い、データを分析した。結果から、乳児の音楽体験の豊かさは、拍間隔が一定のタイミングの歌に対する好みの強さと正の相関があることを発見し、国際会議に投稿した。これらの2件の投稿は受理されていて、2016年度中に研究成果を発表する。 さらに、事象関連電位を指標として、拍間隔を適応的に調節するパートナーはそうでないパートナーと比較して、音情報の変化に対する人の知覚認知反応を高めるとの知見について、国際学術雑誌に投稿した結果、Psychomusicology: Music, Language, and Brain に受理され掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オンラインで受講できる音楽学習プロジェクトが、パラ言語の理解、そして音楽の理解に与える効果ついて、2014年度から共同での研究活動について話し合いを進めてきた病院で、2015年度に人工内耳装用児を対象に研究を進める予定であった。しかしながら、2014年度中に対象病院の倫理機関に対して提出した研究の申請に対して、回答を得るまで長い期間待つ必要があっただけでなく、2015年度中には、賠償責任保険に加入することを研究実施の条件として新たに求められた。その後、詳細に検討した結果、要求された賠償責任保険に加入することは困難であることが判明したため、当該病院での研究が不可能となった。そのため、まず健聴児を対象に研究を行うように、新たに体制を構築する必要があったため、人工内耳装用児を対象とする実験はややおくれている。
対照的に、音楽を教材とする際に重要な要素である音楽のタイミング表現が音の知覚認知に与える効果については、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
健聴児を対象とする、オンラインで受講できる音楽学習プロジェクトが、パラ言語の理解と音楽の理解に与える効果ついて、継続してデータ収集を行い、効果について分析を行う。新しく得られた知見は国内外の会議で発表する予定である。
音楽のタイミング表現が脳内情報処理に与える効果については、国際会議での発表の後、統計的検定力を高めるため追加実験を行う。追加実験の成果から新たな知見が得られた場合には、学術雑誌に論文を投稿する予定である。
また、拍間隔が一定の歌と、拍間隔が変動するプロの音楽家のタイミング表現に従う歌に対する乳児の関心について、予定している国際会議での発表に対する評価をもとに、音楽刺激を改変し新たに実験を行うよう共同研究者と協議を始めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
オンラインで受講できる音楽学習プロジェクトが、パラ言語の理解、そして音楽の理解に与える効果ついて、2014年度から共同での研究活動について話し合いを進めてきた病院で、2015年度に人工内耳装用児を対象に研究を進める予定であった。しかしながら、2014年度中に対象病院の倫理機関に対して提出した研究の申請に対して、回答を得るまで長い期間待つ必要があっただけでなく、2015年度中には、賠償責任保険に加入することを研究実施の条件として新たに求められた。その後、詳細に検討した結果、要求された賠償責任保険に加入することは困難であることが判明したため、当該病院での研究が不可能となった。そのため、まず健聴児を対象に研究を行うように、新たに体制を構築するために2015年度に準備を行い、2016年度から実験を開始することとなったため、2016年度の実験遂行に関わる費用が必要なため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度には、オンラインで受講できる音楽学習プロジェクトの実験を行うためための謝金と消耗品費として利用する。
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