研究課題/領域番号 |
25380984
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 静岡文化芸術大学 |
研究代表者 |
小杉 大輔 静岡文化芸術大学, 人文・社会学部, 准教授 (80399013)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 因果性 / 認知発達 / 乳児 / 目標指向性 |
研究概要 |
平成25年度は、まず、物理的因果性課題と心理的因果性課題という馴化-脱馴化法を用いた2つの実験の実施に向け、実験装置の整備と刺激の作成をおこなった。 物理的因果性課題では、Leslie and Keeble(1987)とNewman et al.(2008)を参考に、動く対象Aが静止する対象Bに向けて動き、接触すると対象Bが動き始める事象(衝突駆動事象)を刺激事象とした。対象どうしの接触と静止した対象の始動の時空間的関係を操作し、因果的事象と非因果的事象を作成した。心理的因果性課題では、Luo and Baillargeon (2005)を参考に、馴化刺激として、行為主体(長方形の対象)が対象A と対象B のうちの1つに接近・接触する事象を、テスト事象として、対象A と対象B の位置が入れ替えられ、行為主体の動く軌道もしくは目標となる対象が馴化事象から変化する事象を作成した。 これらの刺激事象(フラッシュムービー)は、Adobe Creative Suite 6を用いて作成した。刺激事象を22インチのPCモニタ上に提示し、それに対する乳児の注視反応を測定、記録、分析する装置を作成した。とくに、乳児の注視行動をとらえたカメラの映像をPC に取り込み、提示中の刺激事象とリアルタイムで同期させるシステムに工夫を要した。 今年度は、両課題を別々の乳児群を対象に実施する予備的実験をおこない、得られたデータと先行研究のデータを比較し、実験課題の妥当性を評価した。対象となった乳児は6-9ヶ月児、計10名であった。注視反応の分析の結果、先行研究と同様、両課題において、乳児が因果的認識をしていた可能性が示唆された。 この他、因果的認識の初期発達に関する文献調査をおこない、その結果を紀要論文としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
乳児の注視反応をとらえた映像と提示中の刺激事象を同期させるシステムの作成に時間を要している。 予備的な実験の実施が当初の予定から遅れており、調査対象数が少ない。
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今後の研究の推進方策 |
予備的な実験の続きを早急に実施し、それと平行して実験装置の整備を完了させる。 その結果を踏まえ、二つの実験課題を被験者内計画で(つまり、各乳児が両方の課題をおこなう)実施する本実験に移行する。 実験的研究と平行して、乳児の行動観察を実施し、実験の考察の資料としたい。 文献調査を継続し、この領域の研究の動向を精査し、研究計画に反映させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費および人件費が当初の見積もりよりも少なくなったため。 人件費については、予備的実験に遅れが生じたことが原因となっている。 遅れが生じた実験については、平成26年度に実施するので、未使用額はこの実験の経費に充てることとしたい。
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