研究課題/領域番号 |
25380985
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
眞邉 一近 日本大学, 大学院総合社会情報研究科, 教授 (80209676)
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研究分担者 |
高久 信一 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (40102636) [辞退]
朝比奈 潔 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (10147671)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ゼブラフィッシュ / オペラント条件づけ / 聴力 / 光臨界融合周波数 / 学習の可塑性 / コントラスト感度 / 加齢 |
研究実績の概要 |
聴力測定実験では、観察ゲートを通過すると、音提示試行あるいは無音試行のどちらかが開始され、音提示試行において反応ゲートを通過すると強化され、無音試行で反応ゲートを通過するとタイムアウトが提示されるGo/No Go課題でゼブラフィッシュを訓練した。最大音圧での正答率が75%を超えた次の試行から音圧を-2dBずつ減少していき、正答率が75%を連続20セッション超えなかった場合、その直前の音圧を閾値とした。特定の周波数での閾値測定を終了した時点で、周波数を変化させた。ゼブラフィッシュの聴力のピークは、800Hz前後であり、1000Hz以下の周波数の感度は急激な低下はない一方、1000Hzを超えると急激に感度が低下することが確かめられた。相対的に高域への感度が低く、低域周波数への感度が高い他の魚種の聴力曲線の形と類似した聴力曲線が得られている。 Go/No Go課題を用いたゼブラフィッシュの光臨界融合周波数(CFF)は、光の輝度の増加に直線的に比例するのではなく、輝度の対数に比例するヒトや他の動物で確認されているフェリーポーターの法則(Ferry-Porter law)が当てはまることが確かめられ、種を超えた普遍性が認められた。光臨界融合周波数(CFF)は、ヒトとの比較では、ほぼ同等かそれ以上である結果が得られている。 同時弁別課題を用いた色刺激を弁別刺激とした連続逆転弁別実験における学習の柔軟性は、孵化後500日前後で急激に低下することが確かめられた。脳の老化との関連性の検討が望まれる。 同時弁別課題を用いたコントラスト感度測定実験において、ゼブラフィッシュは縞模様の弁別が困難である事が示されたが、高コントラスト下では、弁別が可能であることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
聴力測定実験では、1000Hz以下の周波数の聴力に比べて、1000Hzを超える周波数の聴力は低いという結果が得られ、他の魚類に近い結果が得られている。 光臨界融合周波数(CFF)測定実験では、ヒトのCFFより高い値が得られている。 学習の可塑性実験では、老齢個体は逆転弁別課題での学習に時間がかかる一方、若齢個体は学習が速く、加齢に伴い、学習の可塑性が変化することが確かめられた。 コントラスト感度測定実験では、データを引き続き収集中である。
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今後の研究の推進方策 |
29年度は、これまで得られたデータのとりまとめと、聴覚・コントラスト実験の継続、および、国内学会および国際学会での研究成果の発表を行う。 ゼブラフィッシュの学習能力測定実験で新たに導入した時間弁別能力の結果をデンバーで開かれる国際行動分析学会年次大会で発表する。次に、パリで開かれる第9回行動分析学会国際大会では、ゼブラフィッシュを含む小型魚類用に開発した、安価なリアルタイム画像追跡システムを用いた弁別実験について発表する。 聴力測定実験では、さらに被験体を可能な限り増やし、コントラスト感度測定実験では、弁別基準の見直しを行い、測定訓練期間の短縮化を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入価格の割引等により3千円弱の残余が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
えさ代等の消耗費に充てる。
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