研究課題/領域番号 |
25380986
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
都築 誉史 立教大学, 現代心理学部, 教授 (70207421)
|
研究分担者 |
武田 裕司 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (10357410)
本間 元康 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所成人精神保健研究部, 研究員 (20434194)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 意思決定 / 眼球運動測定 / 文脈効果 / 認知的負荷 |
研究概要 |
本研究の目的は,認知的な負荷が,非合理的な選択現象である2属性3肢選択意思決定における4種類の文脈効果(類似性効果,魅力効果,妥協効果,幻効果)に及ぼす影響を,生体信号指標(眼球運動,事象関連電位)と,生理学的指標を用いて詳細に分析することにあった。 平成25年度においては,新たに複数の予備調査によって設定した刺激項目群を採用し,従来の頭部搭載型眼球運動測定装置に比べて参加者に負担が少なく精度も高い最新型の非接触型・眼球運動測定装置(Tobii X120)2台を用い,3種類の文脈効果(類似性効果,魅力効果,妥協効果)を,詳細に分析する基本的な実験に焦点を絞り込んだ(実験参加者数は,113名)。 さらに,ファントム効果については,208名を実験参加者とし,代表的な認知負荷である時間的制約(time pressure)条件と統制条件を比較する実験を行い,興味深い知見を得ることができた。脳波の事象関連電位の測定については,BrainAmpを用いた実験準備を行った。実験参加者の唾液アミラーゼ活性の測定については,データの信頼性に問題があるため,実施を中止した。 特に,3種類の文脈効果に関し,113名の実験参加者について,サンプリング時間解像度120Hz(サンプリング周期,8.4ms)という非常に高い精度で,眼球運動データを取得できたことは大きな成果である。膨大な生体信号データであるため,実験結果の公表に向けて,データ分析を進めている。平成25年度に実施した実験データは,平成26年度に複数の学会(国内,国際)にて研究発表を行うように手続き中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3種類の文脈効果(類似性効果,魅力効果,妥協効果)に関し,113名の実験参加者について,サンプリング時間解像度120Hz(サンプリング周期,8.4ms)という非常に高い精度で,眼球運動データを取得できたことは大きな成果である。また,ファントム効果については,208名を実験参加者とし,代表的な認知負荷である時間的制約(time pressure)条件と統制条件を比較する実験を行った。実験参加者の唾液アミラーゼ活性の測定については,データの信頼性に問題があるため,実施を中止し,今後も測定の予定はない。一方,脳波の事象関連電位の測定については,専門家の指導のもとに,BrainAmp(10-20法)を用いた実験準備を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
3種類の文脈効果(類似性効果,魅力効果,妥協効果)に関し,言語刺激を用い,詳細に眼球運動測定を行う実験方法は確立できたため,平成26年度は,時間制約(time pressure)やストループ課題によって,認知的負荷を設定した実験を行う予定である。 また,脳波の事象関連電位測定においては,眼球運動が大きな阻害要因となってしまうため,これまでの実験とは別のパラダイムを用いる必要がある。そのため,(a)長方形の刺激を用いた知覚的意思決定課題の適用,(b)事象関連電位のEPN(Eearly Posterior Negativity)に焦点を当てた手法,(c)視覚情報への興味度(選好)を,視覚課題とは全く無関連の聴覚刺激に対する事象関連電位で評価する方法(プローブ法)の採用などを検討している。 一方,実験データの収集と共に,得られた遂行データと生体信号指標データを包括的に説明できる,計算論的モデルの改良も計画している。
|
次年度の研究費の使用計画 |
2台の眼球運動測定装置(Tobii X120)を用いて,同時に2名の実験参加者に対して実験を実施できるように,実験室環境を設定した。そのため,(a) 2台目の眼球運動測定装置を制御する高性能デスクトップパソコン1台と,(b) 実験参加者のプライバシーを守り,モニターへの別モニターからの光の映り込みを防止するパーティションが必要になった。 高性能デスクトップパソコン(Dell Precision T1700)1台と,大型パーティション2個を購入する。これらの導入により,1実験室内において,2組の眼球運動測定装置を用い,2名の実験参加者に対して実験を行うことが可能になり,非常に効率的に研究を進めることができる。
|