| 研究課題/領域番号 |
25380989
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| 研究機関 | 大阪電気通信大学 |
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研究代表者 |
小森 政嗣 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 教授 (60352019)
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| 研究分担者 |
長岡 千賀 追手門学院大学, 経営学部, 准教授 (00609779)
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| 研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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| キーワード | 呼吸 / 同期 / Transfer Entropy |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、他者の呼吸を無意図的に模倣する現象のプロセスを実証的に検討し、呼吸を媒介とする対人相互作用が生起する認知的なメカニズム、および呼吸模倣現象が対人認知などに及ぼす影響などを明らかにするものである。呼吸を模倣するためにはまず、他者の周期的な呼吸運動の認知（周期体制化）が必要となるが、これまでは実証的検討がなされてこなかった。平成26年度は、この周期体制化について明らかにするため、主に呼吸の同期が生じる際のきっかけについて検討した。呼吸をしている人物の上半身映像を撮影して、そのときの呼吸波形を記録した。この映像中の身体動作を強調するために、映像に対してオイラービデオ強調法による処理を施した。実験参加者にこのビデオを見せ、映像中の人物に息を合わせるように教示した。またこの時の呼吸波形を胸郭呼吸ピックアップにより測定した。呼吸波形の1周期が等位相間隔になるように、刺激呼吸波形および同時点の被験者呼吸波形の線形補間を行い変換された呼吸波形を、吸気を1、呼気を0に離散化した。この呼吸データを元に、映像中の人物の呼吸から実験参加者の呼吸への情報の流れを移動エントロピー（Transfer Entropy: TE）により評価した。その結果、移動情報量は映像中の人物の呼気・吸気の開始点前後で最も高い値を示した。このことは、呼気・吸気の開始、特に呼気の開始が対人間の呼吸同期のトリガーとなっていること、そして呼気の開始点が他者の呼吸の時間的な体制化に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では，呼吸波形を離散化し，相互情報量をもとに対人相互作用を検討する計画だった．しかしながら対人相互影響の複雑なプロセスを明らかにするためには因果関係を明確にする必要がある．そこで移動エントロピーの考え方を導入し解析手法について再検討を行った．しかしながら，呼吸波形を離散化することで多くの情報が落ちてしまうために，複雑な相互影響過程を検討することが難しいことも実験の結果明らかになってきた．呼吸の相互影響関係を検討する新たな指標の検討に時間がかかったため計画よりやや遅れている．現在は，方向統計学を利用した新たな解析手法を考案し検討を進めている．
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| 今後の研究の推進方策 |
呼吸波形の相互影響過程を詳細に明らかにするため，呼吸波形を位相に変換した上で，位相角同士の関係を方向統計学の一手法であるCircular-Circular Correlation (Jammalamadaka & Senguptam, 2001)によって検討していく。Circular-Circular Correlationは角度データの関係を検討する手法であり、相関係数が高い場合、互いに位相同期が起きていると解釈できる。互いの影響関係を検討するためPartial Circular-Circular Correlation、すなわち偏相関についても検討する。これにより相互影響過程を明らかにすることが可能となる。これらの解析手法を対人相互作用場面で得られた呼吸波形データに適用することで、呼吸模倣が社会的インタラクションに及ぼす効果について実証的検討を行う。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
平成25年度および平成26年度の予備的な検討により，当初の研究計画で予定していた解析手法では研究計画の目的を達成することが難しいことが判明した．そのため，平成26年度は主に解析手法の検討に多くを費やし，結果的に呼吸模倣が対人関係に及ぼす影響に関する実験的な検討を行うことが出来なかった．そのため，実験的な検討に伴う物品費や人件費・謝金等が発生せず，当初予定した支出を行うことが出来なかったため．
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| 次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に新たに構築した解析手法を用いて，呼吸模倣が社会的インタラクションに及ぼす効果について実証的な研究を行い，最終的に呼吸を媒介とする対人インタラクションのメカニズムを包括的にモデル化する．
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