本研究の目的は、個人がさまざまな場面状況のもとで自らの記憶能力や記憶特性、知識状態をどのように認識し、そうした認識に基づいて記憶活動をいかに展開していくのかを実証的に明らかにすることである。一般大学生92名の実験参加者に対して個人ごとに、(1)実験室場面での記憶活動、(2)検査室場面での記憶遂行、(3)日常生活場面での記憶行動、の3点について実験参加者自身による自己評価と客観的な課題成績基準または一般的記憶行動傾向に関する基礎的データを収集した。このデータをもとに、記憶のモニタリングとコントロールの関係に関連づけて、広範な場面や文脈における個人のメタ記憶機能に関する理論的検討を行った。
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