研究課題/領域番号 |
25380993
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸親和女子大学 |
研究代表者 |
犬飼 朋恵 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 講師 (10531684)
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研究分担者 |
河原 純一郎 中京大学, 心理学部, 教授 (30322241)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 空間認知 / 男女差 |
研究概要 |
本研究では,性ホルモンが認知機能に及ぼす影響を調べることにより,認知機能の男女差をもたらす要因と,そのメカニズムの解明を目的として実験を行った。最初にどういった課題が性別によって課題成績が異なるのかを明らかにし,その上で性ホルモンの1つであるテストステロンがこれらの課題の遂行に与える影響を検証した。 課題については,女性に比べて男性が優れているとされる空間認知の課題と,テストステロンの分泌量が影響するとされる社会的地位に関する課題を中心に検討した。複数の課題について難度を調整して検討した結果,空間認知課題には,頭の中で立体図形を回転させて標的図形との一致・不一致を判断させる心的回転課題と,実際のマウスの動きとは反転してディスプレイに表示される軌跡見ながら,指定された数字及びアルファベット文字を辿るマウス反転課題を課題として選定した。実験の結果,どちらの課題も女性に比べて男性の方が課題成績が良いことが示された。社会的地位課題では,社会的イメージが空間的な位置関係と結びつけられているということを検討するための社会的地位を表す単語の呈示位置の同定課題を課題として選定した。性別に関わらず,社会的地位の上下とその提示位置の上下が一致した場合には反応が早く,不一致の場合には遅くなっていた。特に男性は,地位の低い単語の呈示位置がイメージと異なるときに,女性に比べて同定判断が遅くなることが示された。これらの結果から,性ホルモンが認知機能に及ぼす影響を調べる上で,これらの課題が男女差を検出するために適切であることが確認された。 性ホルモンの1つであるテストステロンの影響については,これらの課題を実施する前に,テストステロンの量の影響を受けると考えられている人差し指と薬指の長さの比および顔の横幅と縦幅の比を計測・算出し,テストステロンの個人差を検証した。これについては,データの整理中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
認知機能に与える性ホルモンの影響の検討については若干の遅れが見られる。人差し指と薬指の長さ比と顔の横幅と縦幅の比からでもテストステロンの影響を検討可能か調べているが,そのデータ分析に時間がかかっている。そのため,これらの比によってもテストステロンの影響を検討可能かについての判断には少しの時間を要する。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に計測した指の長さ比と顔幅比のデータ分析を引き続き進めて行く。また,唾液成分に含まれたテストステロンの分泌量の計測と選定された認知課題を組み合わせることにより,認知機能に及ぼすテストステロンの影響を検討する。この結果と指の長さ比及び顔幅比を計測した際の実験データを比較することにより,指の長さ比と顔幅比の妥当性についてもあわせて検討して行く。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定していたよりも安価なホルモンの測定方法の妥当性を検討しているため,次年度使用額が生じた。 前年度に行ったホルモン測定の方法の妥当性を検討するために,当初の予定通り唾液成分に含まれるテストステロンの分析を行う。このとき,同一参加者に2回唾液の採取を行う予定である。
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