研究課題
本研究は、小児の行動(特に多動性および注意欠陥)および学習異常の発症メカニズムを検索するために、学習、注意また活動性に深く関与すると考えられている海馬、小脳および大脳皮質の機能不全に焦点を絞り、ラット胎生15、17、19日齢(それぞれM15群、M17群、M19群)に、神経毒性を有するメチルアゾキシメタノール(MAM)を低用量投与することによって、脳の部位特異的な発生学的形態異常を有するADHD(注意欠陥多動性障害)もしくはLD(学習障害)モデルラットを作成した。行動学的には、これらの動物に対して、成体期にシャトル箱回避学習事態での行動を分析したところ、回避反応に随伴して条件刺激(CS)が停止する標準条件では、胎生期に生理食塩水を投与された対照群に比して、M15群は雌雄ラットとも(見かけ上の)高い回避反応率および早い反応潜時を示したのに対し、M17群の雄ラットおよびM19群の雌ラットはともに顕著に回避学習の遅延が観察された。一方、CS停止が回避反応に随伴しない延滞条件(5秒間のCS遅延)では、対照群に比して、M15群の雄ラットおよびM17群の雌ラットが顕著な学習障害を示した。脳の組織学的分析では、M15群は海馬(特にCA1領域)および皮質の重度の細胞構築異常、M17群では軽度の皮質構築異常、M19群では小脳前葉の低形成が顕著に観察された。これらの結果は、ADHDもしくはLDの発症に大脳皮質、海馬および小脳の発生学的形態異常が関与している可能性を示唆するとともに、これらの発症には明確な雌雄差が存在する可能性も示唆するものである。
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行動科学
巻: 54 ページ: 印刷中
Obesity (Silver Spring, Md.)
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