本研究は、ラット胎生後期の異なる時期に低用量のメチルアゾキシメタノール(MAM)を投与して作出したADHDおよびLDモデルラットについて、新生児期から成体期に渡り、反射、活動性、注意、学習に関する多面的行動分析を行うとともに、脳の発生学的異常との関係を分析した。ADHDおよびLDモデルラットは、反射遅延、多動性、注意欠陥および学習障害を示したが、その現れ方はMAM投与時期および行動分析課題によって異なるとともに、顕著な雌雄差が観察された。また脳の組織学的分析により、これらの行動異常は、MAM投与時期特異的な海馬、大脳皮質表層部および小脳の発生学的細胞構築異常と深く関連している可能性を示唆した。
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