研究課題/領域番号 |
25380997
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
藤崎 和香 独立行政法人産業技術総合研究所, ヒューマンライフテクノロジー研究部門, 主任研究員 (20509509)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 対応付け / 時間特徴統合 / 異種感覚モダリティ / 時間周波数限界 / 感覚‐運動 |
研究概要 |
本研究の目的は、「時間」と「内容」の情報を適切に統合してダイナミックな知覚世界を成立させている人間の脳の論理を、心理物理学的実験手法を用いて解明することである。申請者らは近年、感覚モダリティ間・属性間の特徴統合の時間周波数限界が2.5 Hzときわめて低く、かつ感覚モダリティや属性の組み合わせによらず共通の値になることを発見した。本研究では、この感覚や属性の組み合わせによらない共通の時間限界が、「時間(いつ)」と「内容(何)」の情報を並列的に処理したのちに統合するという脳の戦略を反映したものではないかという仮説を、「運動(ボタン押し)」という感覚・属性に共通した新たな指標を用いて検証するものである。平成25年度はこの問題について「感覚‐運動間の時間‐特徴統合課題」を行って検討した。従来の対応付け課題では、2つのモダリティもしくは属性の刺激系列が共に交替刺激であったため、刺激系列1と刺激系列2の「内容」と「内容」を「時間」を基軸として統合する必要があった。それゆえ、対応付け課題のみでは約2.5 Hzの時間限界をかっていしているのが「時間」と「内容」の統合過程なのか、それ以外の過程なのかを区別できなかった。本研究では運動(ボタン押し)を共通の指標として用いて検討することでこの問題を解決するものである。結果については現在分析中である。上記の他に、生理学研究所と共同で、「時間」と「内容」を統合する脳内部位の特定を目指してfMRIの実験を進めている。また、聴覚における属性間バインディングの研究も進めている。また、朝倉書店より出版された「福祉技術ハンドブック」において、異種感覚統合について執筆を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験および論文の執筆に時間がかかっているが、fMRI実験や聴覚における属性間バインディング実験など、当初の予定になかった実験が進んでおり、全体としてはおおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き実験を進めて、順次解析を行い、対外発表していく予定である。また反応時間を用いて各特徴の知覚にかかる処理時間を推定する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していた実験を本格的に実施する前に、fMRI計測実験や、聴覚の異属性間対応付け実験などを行った結果、当初予定していた実験が計画通りに進まなかった。 次年度は、さらに被験者を増やして実験を行う予定であり、実験準備、被験者謝金、英文校閲費、論文投稿料などに使用する予定である。
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