本研究の目的は、「時間」と「内容」の情報を適切に統合してダイナミックな知覚世界を成立させている人間の脳の論理を、心理物理学的実験手法を用いて解明することである。我々は近年、感覚モダリティ間・属性間の特徴統合の時間周波数限界が2.5Hzときわめて低く、かつ感覚モダリティや属性の組み合わせに寄らず共通の値になることを発見した。本研究では、この感覚や属性の組み合わせによらない共通の時間限界が、「時間(いつ)」と「内容(何)」の情報を並列的に処理したのちに統合するという脳の戦略を反映したものではないかという仮説を、さまざまな課題を用いて検証した。
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