研究課題/領域番号 |
25381006
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
佐藤 哲也 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (10273814)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コトン・マザー / 父親 / 家庭教育 / 宗教改革 |
研究実績の概要 |
文献・論文資料の収集を行うと共に、それらを繙きながら研究テーマをめぐる情報を整理・検討・考察を進めた。ピューリタン研究に関わる文献として、日常生活における礼儀作法やセクシュアリティに関する研究、親子間の感情生活や子どもの信仰体験に関する研究を収集した。特に近代初期イングランドを研究対象いしたAnna Frenchの研究、Children of Wrath: Possession, Prophecy and the Young in Earky Modern England(Ashgate, 2015)の視点や方法論は、同時代のニューイングランド子ども史研究にも援用できるとの示唆を得た。他にも A Cultural History of Childhood and Famiy(Bloonsbury)全6巻を購入。本研究を西洋子ども史・家族史研究の文脈に位置づける用意をなした。
毎年2回、東京と神戸で開催される世界子ども学研究会例会に参加し、西洋(教育)史、教育哲学、児童文学に取り組む様々な研究者から本研究に関わる助言を受けると共に研究情報を得た。
鈴木昌世編著『一家団欒の教育学』(福村出版、2016年)に共著者として参画し、本研究で得た知見(宗教改革期の父子関係、コトン・マザーの体罰批判等)を「父親をめぐる歴史的断章」(第1章)「2 父権の再強化と契約概念」「3 体罰批判と子どもの内面統制」において明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
幼児教育講座を1人で運営せざるを得ない職場事情に変化なく、研究に振り向ける時間と労力を十分に確保することができなかった。また、教育史学会第59回大会大会準備委員会委員として、大会の準備・実施・次期大会校への引継ぎに追われた。上記の理由により、計画が大幅に狂ったため、研究期間を1年延長することになった。
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今後の研究の推進方策 |
就業環境の改善は見込まれず、昨年度よりも3コマ(同僚教員が急遽授業担当できなくなったため)授業負担が増加した。そのため、研究時間の確保に苦慮することが予想される。しかしながら、研究期間最終年につき、当初予定していた資料収集を目的とした渡米を実現したいと考えている。研究成果については論文にまとめ、世界子ども学研究会紀要『ハルシオン』に投稿したい。研究期間満了後も、収集した資料や文献に基づき、教育史学会、日本保育学会、世界子ども学研究会等で研究発表を行い、学会紀要をはじめ宮城教育大学研究紀要等に論文として研究成果を報告し続けていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
私が所属する「幼児教育講座」は専任教員2名、週2日出勤の特任教授1名の3名体制である。幼児教育コース68名の学生の修学・生活・進路指導、及び80人に及ぶ幼稚園免許取得希望者への対応を行っている。専任教員1名が病気のために職務制限が掛かっており、講座主任教授である私が実質1名で講座と宮城教育大学幼小連携推進研究室の運営に携わっている。加えて、本学が教育史学会第59回大会開催校となったことから、大会準備委員会事務局長及びシンポジウム司会を務めることとなり、研究に集中することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
勤務環境に改善は期待できないものの、科研費を有効に利用して文献収集や論文・マイクロフィルム等1次資料の複写に勤めることで、近い将来に研修として実を結ぶための条件を整えていきたいと考えている。私の科研費取得と同僚の病休が不幸にも重なったため、1年目から3年目までまとまった期間大学を留守にすることがままならず海外に資料調査に出かけることが許されなかった。今年度は特任教授出勤日を週2日から3日に増やしていただいたこともあり、アメリカへの研究調査を是非実施したいと考えている。
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