研究実績の概要 |
アメリカ宗教史の研究成果に多角的に目配りをしながら、コトン・マザーの思想史的位置付けに関して検討するための資料を収集した。 ニューイングランドに移住したピューリタンの世代間変容をダイナミックに捉えるために、原住アメリカ人や黒人、カトリック教徒等、異民族・異人種・異教派との交流やそこから醸成された宗教的信条の変容、信仰の世代間継承の問題について示唆を得られる資料や文献を渉猟した。またピューリタンの日常生活(夫婦関係、親子関係、近隣住民との関係性等々)の構造や感情をめぐる研究成果にも注目し、親子関係や子育ての心情に迫る社会史的研究について調査した。 また、教育史学会(横浜国立大学)、世界子ども学研究会(青山学院大学)、日本乳幼児教育学会(武庫川女子大学)に参加して、幼児教育研究、教育史研究、子ども史研究の最新動向に学びつつ、本研究課題をより大きな教育・保育研究、子ども研究、歴史研究の文脈に位置づけるための可能性を探った。 また、プロテスタント系神学や宗教思想についての蔵書が豊富な関西学院大学図書館に足を運び、資料調査・資料収集を行った。 これまで収集・整理した研究資料の精読と分析を踏まえ、論文「初期アメリカの子ども言説――子ども性悪説の幻影」(ミネルヴァ書房より刊行の予定)の他、論文「回心語録に語られた子どもの霊的世界: Cotton Mather, A Token for Children of New England (1700, 1771 rev.)」を現在執筆中であり、学術雑誌を通じて公表する準備を進めている。
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